ツナグのレビュー・感想・評価
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長く感じた。
ハンカチを握りしめ準備万端!と構えていたのがよくなかったのか、全く泣けませんでした。
泣きたいから観たかったわけではないけれど、期待していた分あれ?という感じ。
この「死者に再会できるという奇跡のようなチャンスがたった一度だけ与えられる」という設定の割にはなんか軽いというか。
親子、親友、恋人。
恋人を最後に持ってきたからかな、でもやっぱりこの順番だよな、と悶々としてしまいました。
しかし佐藤隆太はあれで前に進めるのかな?
そりゃ行方不明のままずっと思い続けるのよりは救われていると思うけど、やっぱり彼はこの先もずっと彼女を思い続けてしまうのでは…。
それも幸せなのかな。
全体的にツナグを引き継ぐという流れで祖母が孫に説明をしながら進んでいくのが、観ていて若干面倒くさくなってきました。
でも孫と祖母のシーンはほのぼのしていて、緊迫感のあるラストでも温かいものがありました。
あとばーちゃんの作るご飯はハイカラでとても美味しそうでした。
続編観たい。
良かったです。御園と嵐の回が一番グッときました。
御園の伝言についての受け取り方は、観る人によって解釈が違うと思います。復讐的とも取れるし、優しさとも取れます。
どの道嵐は御園に対しての裏切りと謝罪の気持ちを持ち続けて生きていかなければならない。そこで御園が言っていた、「やらないで後悔するより、やって後悔した方がいい」が思い出されます。
御園は歩美君のコートの件で、嵐が言ってくれないかもしれないと思った。結果、嵐は御園に真実を伝え、謝罪する事ができずに後悔を生涯背負う。ひょっとして御園は、その事を身を持って、辛いけれど伝えたかったんじゃないかと思いました。
御園は歩美君にも言っていました。後悔しない生き方をして、と。嵐が御園に言っていれば、後悔しない生き方を選択できたが、できなかった。御園は嵐に、後悔しない生き方をして欲しいと言う願いを込めて、あえて伝言を残したんじゃないかと思いました。御園は嵐の事を、ずっと親友だと思っているから。
書いてて重いw
秋山家はツナグを継げるのか?
毎日人が死んでいる。いろんな死に方で。ツナグは生者と死者をめぐり合わせる窓口。ツナグには一定のルールがある。それはツナグに依頼する者、ツナグになる者にもある。なるほどと納得できるルール。ツナグの数パターンが描かれる。その中で女子高校生二人の物語が役者の演技力も含めて興味をひかれた。ブラック・スワンばりの緊迫感。配役は若手、中堅、ベテランとみんなうまくはまっていた。鈴木瑞穂は写真のみだが序列上位でさすが。とくに若手の松坂、大野、橋本がよかった。松坂は主役だから当然なのだが「麒麟の翼」よりえらいレベルアップ。大野は友情、裏切り、疑念、恋心といった感情を可憐にカワイく演じて秀逸。本作のイメージは泣ける映画となるが、個々で泣きのツボは違うから自分の心にまっすぐ泣いてください。あっ、それから、魂は何かカケラの集合体らしいです。
樹木希林素晴らしい
泣けるいい映画だった。様々な人達の物語を映し出しながらも、中途半端にならず描ききっていた。原作はもっと物語があると思うが、時間・物語共にちょうど良かったと思う。
実力派の役者が揃っていたが、樹木希林の演技は特に良かった。この映画は樹木希林無しじゃ出来ないと思わせる程。橋本愛も初めて演技を観たが上手かった。
ただ、所々気になる場面はあり、特に劇中の音楽が泣かせようとするドラマの安っぽい感じに少しなっていたのが残念だった。だがそこも含め樹木希林がラスト10分程の演技で上手くカバーしていた気がする。
樹木希林サマサマでしたね。
グッときた
後悔、という言葉を考えさせられた。
留まるか進むか。。。どう悔いが残っても、進まなきゃいけないんだって思わされた。
いろいろな面で心打たれ、考えさせられ、良い作品だったと思う。
原作読みたい!!
文句なしに泣けます
原作を読んでいたので、冒頭のシーン(御園が蛇口を締めるところ)で早くも泣けました。
原作でも女子高生二人のエピソードは衝撃的ですが、実写でも原作を裏切ることなく良かったです。
特に嵐役の橋本愛さんの演技は素晴らしかった。
「嵐ってこんな顔だったんだ」と。原作のイメージにぴったりだと思いましたし、歩美から御園の伝言を聞いた後の「ごめんなさい!ごめんなさい!」と絶叫するシーンは迫力でした。
原作で、
鍬本輝子が上京した時に、風俗で働くつもりで考えた源氏名が「日向キラリ」だと説明していますが、なぜ偽名を使ってたのかっていうところが、映画では説明されてなかったので、原作を読んでない方はたぶん「?」だったのではないかと思います。
上京したばかりのキラリは、ピンクのコートを着た田舎のギャルっていうイメージがあったので、実写キラリはロリータ風でイメージ以上にかわいくて良かったです。
あと、ジュンヤワタナベのコートがどういう物かが見られて良かったです(笑)
予定外にウルッときしてしまった。
原作未読。
年を重ねるごとに、予定外に涙腺がやられる・・・
甘酸っぱさと切なさに、女子高生エピソードに泣かされてしまった。
樹木希林はハマリ役ながら、涙のシーンは少々笑ってしまった。
松坂桃李くんは益々好青年。好感のもてる感じ。
予想のつく甘々な話ですが、秋の日にのんびり浸るのは良いかなと。
死者に会えるのは良いこと?
死者と会いたい人をつなぐ使者、ツナグ。死者に思い入れの強い人、亡くなったことを受け入れられない人を逢わせる役の樹木希林が孫の松坂桃季に役目を譲ろうとする。この二人の演技は淡々として、愛情がありとても良い。色々なエピソードは簡単に描かれているが、松坂の両親の死の訳、それに苦しんでいる祖母の樹木希林を理解し、ツナグになろうとする松坂の意思が強い、松坂が会いたい人はおばあちゃんという所が泣かせる。私も昨年、主人に亡くなられ、周りからはふっきれた様に見えるが、時折なにかのきっかけで涙が止まらない時があります。どんな気持ちで亡くなったか知りたい気もしますが、もし会えたら良いかどうかはわかりません。
生命が繋がっていると信じられる究極のヒーリングムービー
生きている者は誰でも必ず何時の日か、愛する人と別れ、この世を去らなくてはならない旅立ちの日が巡って来る、そして死んだ者が住む世界は本当に存在しているのだろうか?と言う、死と生の二つの世界はどう繋がっていて、どの様に存在しているのだろうか?と言う人間の根源的なこの疑問への問いかけからこの物語は始まる。
その疑問へのナビゲーター役として、生者と死者の間を取り持つ役目の使者の存在をツナグと呼び、この都市伝説の次期ツナグを受け継ぐ筈の渋谷歩美(松坂)のナレーションでゆっくりとこの作品は進行するのだが、人の死と言う重いテーマを扱ってはいるのだが、それでいて本作は1つも重苦しさを感じさせないばかりか、むしろ大人のファンタジー映画と呼べる夢を感じさせる作品と言っても良い。それ故に本映画を観賞する時は、映像作品として、その出来栄えが素晴らしいか、或いは不出来かなどと捉えて観るよりは、仲代達也演じる秋山のセリフにあるように、心で観る、感じて観ると言う感性で捉えなければ、この作品は結構穴だらけの、突っ込み処満載の映画に見えてしまうと言う事も場合によっては有るだろう。これは、原作である物語が描く世界が証明不可能な死後の世界が存在すると言う仮設を前提に描いている為に陥ってしまう、欠点とも言えるのだ。
しかし私は、個人的に、このタイプの映画は大好物なので、ポイントは高得点を付けてしまうのだ。タイムトラベラー物や、異次元世界物を扱っている映画好きにはきっと美味しい映画だと私は思う。
例えて言うなら、大林監督の「異人たちの夏」を始めとして「MAKOTO」や、洋画では、「ゴースト」や「オールウェイズ」「シックスセンス」などの作品だ。
そしてこの映画の良さは、きっと映画を観ている観客自身の実人生で、死別した人がいる場合に、その亡くなった人と生活した日々を思い起こし、改めて死別した人を偲ぶ気持ちを惹き出してくれる処に、この作品の良さを感じるに違いない。
そして、故人に思いを馳せる事が出来たなら、この映画の存在価値が有ると思うのだ。
私も、父と言い争い、その2日後に父が他界した為に、父と和解出来ずに別れてしまった事が、今も心残りであるのだが、きっと私と同様に、この作品を通じて観客の皆が、それぞれに、亡き者との対話を心の中で行うことが出来たと私は思うのだが、この映画はそれだけで、作品の制作意図を果たした事になると思うのだが、あなたは、どう感じるだろうか?それと映画のレビュー評価は別ものと考える方もきっとおられるだろう。
しかし、例え映画の中の世界であったとしても、死後は何も残らずに無くなってしまい、死んだらもう、それで一巻の終わりと考えるよりは、科学的に決して証明する事が出来なかったとしても、人間の根源である魂と言う存在だけは永遠に生き残り、魂としてまた新しい別の世界での生活が存在すると考えて生きていた方が心が軽くなり、生活が楽になると言うものだ。そんな夢の世界を見せてくれる事に確かさと、重みを感じさせる事が出来たのは、仲代達矢、樹木希林、八千草薫の名演が有るからこそ実感出来る事だ。そして真実の正当性と言う事よりも、人が愛すること、そして愛する人を信じる事、その大切さは何時の日も、死後も決して変わらない事を伝えてくれるから夢の有る秀作と言えるのだ!
『サトラレ』が観たいなぁ
キキキリン効果なのか、館内には『あなたへ』にやってきていたジジババ集団がわんさか。本当にそういう映画なのかねと疑心暗鬼。
映画が始まると、おばちゃんたちはおもむろにシャカシャカとポリ袋をいじくり廻して、中から買ってきたばかりのおにぎりを取り出した。いつものシルバー騒音。
隣で喰っているおばちゃんのおにぎりを見ると、シーチキンマヨネーズ。
「ツナ具」ということか(-_-)
アマイお菓子かな?
久しぶりに日本映画鑑賞しました。原作を読んでいないので、映画のみでの感想ですが、3つのエピソードは、程々にハッピーエンドで出てくる人物は
よい人ばかりで物足りない。死者との交信はもっと重厚で深い意味があってほしかった。ツナグになった青年も祖母ももっと悩んでほしい!
あんなリスクがあるのになぜいとも容易く受け継いでいくのか、納得できない。描き切れていない感あり。
夢のような話なら「ゴースト」がいいし・・・。
話す言葉も時々プツプツきれ余韻がなく、キャストのよさを引き出しきれていないのではと思えます。たとえば八千草さんですが、あの素敵な着物を着こなしている人を母ちゃんと呼ぶのは違和感がありました。
私の偏見でしょうか。
退屈はしなかったけれど、「ツナグ」という言葉の美しさ悲しさ感じられず残念です。
キャスティングの妙
希林さん出演の映画にハズレなしと思い、劇場で観ました。映画がとても良かったので原作も読んでみました。原作のイメージにふさわしい素晴らしいキャスティングだったと思います。
ふと自分自身の亡母のことが思い出され、涙がこぼれそうになりました。薄暗い劇場の中でしたが、目尻をハンカチで拭う女性の姿が多く見られました。久々の感動作品です。
御園の気持ちは?
もしも一生に一度だけ死んだ人に会えるとしたら?自分はいったい誰を選ぶだろうか…
もし自分の死後に、使者に呼ばれて生者と会うことがあるとしたなら、きっとその時は遺された人(生者)のためになるように使うと思う。
劇中に出てきた母親や御園やキラリのように…
本作「ツナグ」は生者が死者に生涯に一度だけ会うことが出来る物語である。
劇中には親子、親友、恋人の3組のエピソードが描かれているが、私が興味を持ったのは親友のエピソードだ。
女子高生の嵐が亡くなった御園に会うのだが、この映画の中で観た人の感想が一番別れる場面ではないだろうか?
ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが、事故で死んだ御園が嵐のことを赦したのか?赦していないのか?あの伝言の本当の意味は?
私は御園は全て知った上で、生者である嵐のために嘘の伝言を託したのかなと信じたいのだが…
この場面がこの映画の一番面白いところではないだろうか?
おもしろかった!!
最高でした。
原作は読まずに、映画でツナグの世界を楽しみました。
さすがの大御所、樹木希林さんの演技には目をそらせず。
泣ける映画だと聞いていたので、気合い入れて見に行ったんだけど、
結局号泣させられました。
エンケンと八千草薫の親子のシーンが一番好きかも。
女子高生の演技も迫力あってよかったです!
落ち着いた映画でした・・・
人を優しい気持ちに させてくれる映画かも知れません!☆
今回 アウトレイジの予約券を買いに行った時に
映画館の中のテレビモニターに ツナグの宣伝の映像が流れてまして
ちらっと 湯煙スナイパーに出てたゲンさんが出てましたんで・・・
ゲンさんが出てるなら観てみようかと思いましたが・・・・
今回はアウトレイジビヨンドだけ観て帰ろうと思ってまして
アウトレイジが非常に面白かったのでいー気分で そのまま帰ろうと思ってましたが・・・
同じ練馬の映画館で、ツナグの最終時間に間に合ったので ツナグの券を購入して観る事にしました・・・
・何年か前に死後の世界へ行って来まして
向こうの係りの人に まだ君は来る時では無いからと言われまして
向こうの人に この世に帰して貰った記憶が有る人間としては どんな世界観が描かれてるのか少し気になってましたが・・・・・
-映画を観ての感想-
始め A○Bより少し可愛い女子高校生達が大勢出て来たので
女子高生ドラマか・・・・ 期待ハズレかな??と思いましたが・・・
湯けむりスナイパーのゲンサンが出て来て安心しました・・・
湯けむりゲンさんと母のシーンで少し泣けるかなと思いました・・・
生きてるうちに もう少し身内を大事にしなくてはと思わせてくれる映画でした!
佐藤君とキララも良かったですが
途中で 早く会いにいかんか~ 早く行けよと思った所も有りましたが
まぁ~なんとなくいー感じでした・・・
☆特に身内が亡くなった経験が有る方が見ると 泣けるかも知れません・・・
親など もっと大切にしようと思わせてくれ 考え方を少し変えてくれる映画なのかも知れません☆
おまけ
ちなみに、私が行って来ました死後の世界は この世と あまり変らなかったですよ!
アドバイス
・あえて 誰とは書き込みませんが 生きてるうちに悪い事は なるべくしない方が良いかと思います・・・
素直に感動しました。
死んでしまった人間と再度会いたいと思う人の再会をすることができる‘つなぐ’。
しかし、その再会はお互い一度きりしかできません。
だからいろいろな人に会いたくても、そのうち一番会いたい人をセレクトしなくてはならないんです。
きつい条件ですよね〜。おまけに与えられるチャンスは一度だけ。そのチャンスの時間に伝えたいことも思い残さず伝えないといけない。
この映画の中ではいろいろなシチュエーションが有りましたが僕が一番‘グッ’ときたのは親友との突然の死別を迎え、再会するお話。橋本愛の迫真の演技も重なり涙が止まりませんでした…。
樹木希林はさすが!って感じだし、松坂桃季も上手って思いました。
極上のファンタジーに仕上がっていると思います。
こういうのって、役者さんが上手い下手かでゼンゼン仕上がり違うと思いますが皆さんすごく良かったです。
一夜限りの復活はある種のメタファー。生死を見つめた物語に、深い感動を覚えました。
“ツナグ”の斡旋に応じてね死者が生前の肉体を伴って一夜限りの復活をするという設定には、凄く違和感を感じました。但し、あくまで映画作品の中での設定なので、これをある種のメタファーとして、原作者が本作に託した意図のほうを、観客は読み解かねばいけないのかもしれません。そんな素直なこころで見ると、登場する3組のエピソードに加えて主人公の両親の死の謎にまつわる、生死を見つめた物語に、深い感動を覚えました。
いつの時代も、生きているものが死者と会いたいと願うのは、変わらぬ願いでしょう。そこには逆説的に、今生きているものたちへの警告が潜んでいると思うのです。明日も笑顔で顔を見せてくれるはずだった。本作で描かれる“ツナグ”の依頼人たちは、みんなそう思っていたはずなのです。けれども蓮如上人にいわせれば、一度無常の風が吹けば、老いも若いも関係なく、等しくいのちは途絶え、朝には元気だった人も夕方には白骨になってしまうなのですね。
だから、“ツナグ”の存在は、生きているうちに、時間がまだあるからといって先送りしてはいけないことを教えてくれているのだと思うのです。大切な家族や友人、愛する人に、言葉にできない気持ちや、喧嘩してすまないと詫びたい気持ちがわだかまったままなら、とっとと伝えるべきべきなのですね。それを押しとどめているのは、自我の殻というか、自分のプライドを守り、傷つきたくないという自己防衛本能なのでしょう。でもそんな思いでついつい言えないままでいると、この映画の依頼者のように大きな後悔を残してしまうのは必至。死を考えるのは、実は「今しかない」という真実を悟るということなのでしょう。心当たりがある人は、この映画を見たらすぐに実行してみるべきでしょうね。
本作で語られるもう一つのテーマは、肉体の目で見ているだけが本当ではないこと。主人公の歩美も両親の死をずっとネガティブに捉えて苦しんでいました。けれどもラストで本当のことが知らされてみると、両親の死を超えて、そこにあった自分に対する大きな愛を見いだし、全然違った見方に変わっていくのですね。ひょっとしたら歩美が“ツナグ”を継承していく上で、両親の死は必要な試練であり、人生の問題集みたいなものであったのでしょう。
人生には、往々にして歩美のように、忌むべき不幸や逆境が用意されていることがあります。それを単に悪しきこととして嘆き悲しむばかりでなく、ちょっと心を落ち着かせて、心の目で見つめれば、次のステップに上がっていくためのチャンスを用意してくれているのだということに気がつくことでしょう。
そして、もう一つ肉体の目で見ていると気がつかないことは、嘘をついても全てお見通しということなのです。生きている世界では、肉体の壁に守られて嘘はばれません。でも心の世界では、全て見抜かれているのです。ということは、霊能者でなくてもちょっとしたインスピレーションの強いタイプの人なら、相手の嘘を見抜いてしまうことがよくあるってこんなんですね。二番目に登場する依頼者の女子高生嵐が、親友に抱いた殺意がバレバレだったことがそれをよく伝えていると思います。
この世の法律では。実際に殺さないと罪になりません。しかし、こころの世界では。思うここと、実行するとは同じ意味なのです。嵐が抱く、罪と後悔の意識。それはこころで犯す罪の深さを思い知らせてくれます。同時に、反省し懺悔することの大切さを伝えてくれました。
ところで、本作は“ツナグ”のメカニズムについて、深入りしません。それどころか歩美も“ツナグ”の継承者である祖母のツルも、“ツナグ”のメカニズムについて半信半疑なところがいいと思います。イタコみたいに霊の言葉を取り次ぐという教祖面を見せず、ひたすらサポート役に逸するところが、観客の共感を得やすい演出になっていると思えました。“ツナグ”自体には何の力も無いのですね。不思議な力の主役は、“ツナグ”に伝承されている鏡。鏡に向かって何かを唱える所作は、まるで『秘密のアッコちゃん』ではありませんか。それを除けば至って普通の孫と祖母。そんな普通でないことをやっているのにごく普通の暮らしをしているという役作りはさぞや難しかったことでしょう。
平川監督は、主演の松阪に「日常」を求めたそうです。撮影現場で感じた空気をそのままに演じたという松阪の演技は、ごく普通の青年が“ツナグ”の世界に触れて戸惑う姿をよく演じていたと思います。特に、真実を知ることが怖いばかりに“ツナグ”の現場からトンズラした依頼者を叱るシーンでは、次第に“ツナグ”使命感に目覚めつつある歩美の心情をよく表していた好演でした。
そんな松阪を戸惑わせたのが樹木希林のアドリブ攻撃。本番で急に大女優から、「この台詞いうのやめようと思う」といわれると困ってしまいますよね。祖母ツルは、何を考えているのか掴みどころ無い表情で毎日の孫の歩美に美味しい手料理を振る舞っているばかりでした。両親の死の謎なんてなかなか聞き出せそうもないムードは、まさに樹木希林の役作りの真骨頂でしょう。だからツルが本当のことを告白したとき、堰を切ったように嗚咽する姿には涙を誘われました。さすが良い演技です。
他には、嵐が罪の意識から嗚咽するところでは、橋下愛の演技力の凄さを感じました。近い将来大作の主役として脚光を浴びる女優になることでしょう。
最後は、ツルの語りで締めくくられる本作。ツルが老後を悔いなく過ごす秘訣とは、何事も執着することなく、若い人に嫉妬することなく、終わりの日まで感謝の思いで生きること。我を張って頑固さを通すよりも、その方がどれだけ幸せか。特に妻と別居を決断した「ビッグダディ」にはそう言いたいです!
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