そして父になるのレビュー・感想・評価
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素直な気持ち
そして、私も父になる!
失敗知らずだった父も困難にぶつかり自分を見つめなおし成長する
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
一人はレクサスに乗って都会で大きな不動産開発計画を担当する優秀な会社員、一人は仕事兼用の軽の商用車に乗って田舎で電気工事をする庶民、価値観も性格もかなり違う。深刻に問題を捉える真面目な家族と、楽観的に捉える粗雑な家族。出演者に何を考えているのか科白で言わせるのではなくて、少しわざとらしいところもあるものの、一つ一つの言動を捉えて視聴者に見せることによって、家族の言動を対比させて違いを浮き出させ不安を煽ったり苛立ちを表すのがいい。
二組の夫婦を演じた四人の出演者は、それらを上手く演じていた。この問題に突然直面した主人公福山雅治の、父親としての心の動きと変化がしっかりと描かれていて引き込まれた。よくあるいい男です役よりも、重みのある苦悩する役柄に好感が持てた。
ただし結末は曖昧だったので、ここで今後の未来なり方向性なりをもっと明確に見せて欲しかった。例えば、今後も二組は時々会うことにするとか、もうこれでお別れなんだよとか、一時的なものでいいからちょっとした決着をつけて欲しい。
私が初めて観た是枝裕和監督作品の『歩いても歩いても』は、描き方は良かったが物語が淡白すぎて盛り上がりに欠けた。もっとしっかりとした主題や動きのある物語があればいい作品になれるだろうとその時は思ったが、それが具象化したのがこの作品というところ。日常の人物描写と心理描写が巧みなところがあるので、今後に期待したい。
奥が深く、考えさせられる作品
TV放送を見逃したので、レンタルで観賞。
最初はそこまで深く考えずに観ていましたが、話が進むにつれ、感情移入し過ぎて瞬きも忘れる位でした。
泣くことはありませんでしたが、私がもし「父親」となっていた場合は違ったでしょう。
本作は、物凄く心情を丁寧に描いており、子役も含め全員演技が上手いのでそれだけで全員に感情移入してしまいます。
育てた子供が他人の子供だったなんて、いったいどうすれば良いのでしょうか。
中盤以降は早く結末を知りたくてウズウズしてしまいます。ですが、別に話がダラダラ進むなどと言う事はなく、心に訴えかけるシーンが多いので、意外と本編が短く感じる程です。
私はあまり日本の映画を観ませんでしたが、本作をきっかけに観るようになりました。
心を落ち着かせ、何か考えたいときに観たい一作ですね。
テーマは明確、だが演出は・・。
何度も泣いた
父もダメなら母もダメ
原作小説を読んだときは「映画なら感動するのかも」と感想を残した記憶があるんだけど、映画でもあんまり、というか小説以上に心が動かず、違和感と野々宮夫婦の痛々しさばかりが印象に残った。
福山雅治扮する野々宮良多の自己中心なダメ夫ぶりがクローズアップされているけど、その夫の陰に隠れて見て見ぬ振りをし続ける(同情を込めて言えば、萎縮してしまっている)妻も、同じようにかそれ以上にダメ妻だと思った。
「そして『父』になる」じゃなくて「そして『親』になる」だよこれじゃあ。
「うちではなんでも一人でやる方針なんです」っていう良多の台詞を聞いて、この夫婦は大人と関わるのと同じようなやり方で子供と関わっているんだな、と感じたんだけど、でもそれって無理があるでしょ、子供は子供だもん。
でも子供って本当に意味不明で脈絡がなくてこの世のものとは思えないような行動を取るから、大人として暑かったほうが楽。
「我慢を覚えましょう」「自分一人でできるようになりましょう」とか。
結局二人とも楽をしてしまって、全力で慶多と向き合うことをせずになんとなくその場を取り繕って生活してきたから、琉晴に繰り返し「なんで?」「なんで?」と聞かれたときに言葉に詰まった。
日頃から大人として扱われていた慶多が相手なら、「なんでも、だ」という大人の都合で疑問を封じ込めることができたけど、琉晴はそんな都合なんか知ったこっちゃない子供だから、納得できなかった。
なんでもいいから適当に答えればよかったのにね。
野々宮夫婦は、「正論じゃないし筋も通らないけど、子供が納得できる理屈」を何一つ持っていなかったんだ思う。
なかなか残念な作品だったけど、たぶん原作小説の時点からあんまり私には合わなかったんだと思う。
是枝監督の映画は本当に綺麗。
普通の高速道路とか寂れた街並みとか、いつもは気にもとめず素通りしてしまうような風景がよく出てくるんだけど、不思議とそのひとつひとつがあたかも特別なもののように美しく見える。
この作品の方がずっと内容的にはリアルだけど、ところどころで「空気人形」に似たちょっと浮世離れした空想の世界みたいな雰囲気のシーンがあって、やっぱり是枝監督いいなぁ〜と思った。
考えられる作品
邦画ナメテマシタ
親子という特別な関係
血の繋がりのことなのか、家族として過ごした時間のことなのか、父親とは何なのか考えさせられる。
私は今年で21歳になるがもしも父親と血の繋がりが無いと分かったらと考えてみる。父親は僕にとって何になってしまうのだろう。
少なくとも今までの父親とは変わってしまう。大切な人なのは間違えない。親友とのそれとは違う、恋人のそれではない、今までの人生で私を導いてくれた恩師とも違うだろう。全く想定していなかった、異質な存在が私の世界に現れる。関係が変わってしまった父親のことを考えると、この人は何なのだろうと、受け入れられない。ただ大切なその人が家族という最も近い所から遠ざかってしまうのがつらい、お父さんと呼べないのがつらい、みじんでもよそよそしさが生まれるのがたまらなく耐えられない。
普段考えることが無い、「父親とは何か」という深い問いを絶妙な形で投げかけてくれたこの映画は素晴らしい。
人間愛ほど人を満たすものはないのだというメッセージも私の心を打った。またちょっと軌道修正。
愛のかたち
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