「快作!」ザ・マスター leosoさんの映画レビュー(感想・評価)
快作!
ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマン、相対する二人の演技は凄絶。
映画自体のカメラはフィルム65mmで撮られている。
P.T.アンダーソン監督はもともと65mmにすることに決めていたわけではないようだが、これが凄く良いと思う。そんな目利きじゃないから詳しくはわからないけど
ホアキン演じるフレディ・クエルは第二次世界大戦を水兵として終える。終戦後、彼は重度のアルコール依存症と精神異常を抱えた状態に陥っていた。
地元に戻った彼は写真家として職を得るが、顧客とうまくいかずにやめてしまう。放浪した末に乗り合わせた船でMaster,フィリップ・シーモア・ホフマンのランカスター・トッドに出会うのだ。
ここからのストーリーはぜひ自分の目で観てほしい。
僕が気に入ったシーンをいくつか挙げるとすれば
①写真家フレディがつきあったモデルの女性の胸をさらけ出すシーン
②広大な農地をフレディが走るシーン
③フレディとランカスターのプロセシングのシーン
④フレディの存在についての一家の食卓での会話シーン
①は女性が良かったなって。大人な強気なお高くとまったっていうのかな、そういった顔立ちだったのに脱ぐと愛らしい胸だからぴったりのカットになったなと思った。ドレスを着てくるりと回る、脚フェチの傾向がある僕にとっては美味しかった笑
②はフレディの精神的な孤独を誇張するかのように、追っ手を映すことなく、一人で広野を走っているようなポジショニングが気に入った。
③は広角で撮られてたところがまず良かった。容易に引き込まれる場の作り方だなって感心した。ホアキンがどんな演技をしてもいいようにという予防線のために広く撮ってたみたいだけど、これが良い。それにこのホアキンは迫真の演技!!!!痺れた〜
④フレディはなぜこの教団にいるのか、とエミリー・アダムスが追い出そうとするシーンは、覇権の怖さを伝えた。
特徴としては時々奇態な所もあるのにそれが浮かないこと。例えば、一番奇態なシーンは集まった人々の女性全員が全裸であるシーン。(フレディの視点だとわかるが)
フレディはトイレを破壊するほどの凶暴性をも持っていて、マスターに反発するものは暴力によって屈服させるという手段をとっていく。彼のマスターを信じる狂気じみた信仰はゲイであるかと思わせるかほどのもの。マスターはマスターでフレディに特別な感情を持っている。これは不完全な自分の補完的要素をフレディが持っていたからに違いない。二人は相対する人間であったからこそお互いを必要とし、それは静閑なほどに、僕の胸には、人間の関係すべての意味を投げかけてきた。扱ったモティーフの難しさに関わらず、快作。
絶対観るべきとおすすめできます!