劇場公開日 2012年5月26日

  • 予告編を見る

「不快な映画…でも見てしまう」先生を流産させる会 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不快な映画…でも見てしまう

2014年1月10日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

まずこのインパクトあるタイトルに興味惹かれる。
インパクトあるのはタイトルだけではなく、内容も。

担任の妊娠に嫌悪感を示した数人の女生徒が、給食に薬品を混入し、担任を流産させようとする。それを知った担任は厳しく戒めるが、女生徒たちはエスカレートしていく…。

これがフィクションならまだしも、愛知県で実際にあった事件がモチーフ。
脚色はされているとは言え、久々に不快な映画を見た。
別にグロいシーンがある訳でもない。作品の空気がとにかく不快なのだ。

女生徒たちが嫌悪したのはお腹の中の新しい生命ではなく、“異性と交わった担任”。ズバリ、SEXした女が不潔で気持ち悪くて嫌なのだ。
これが馬鹿な男子だったら話は別。そういうのに興味津々なお年頃。
でも女子は男子と違って、性に対してデリケート。
思春期の男子と女子の違い。

嫌悪感は憎悪となり、その憎悪は思春期の不安定さ故、残酷。
モンスターペアレントは子の行為より担任を咎め、子の行為が事実だと分かっても担任の妊娠より我が子を気遣う。
馬鹿が馬鹿を生み、その馬鹿がまた馬鹿を生む…と、劇中で言っていたが、学校も家庭も今は病んでいるのか。

担任は女として、女生徒の行為を戒める。
終盤の担任のある行動は唯一の救い。
多感期の今は分からないかもしれない。が、いずれ子を授かった時、自分たちがした行為がどんなに罪深い事か、分かる時が必ずやってくる。
少女は言った。自分が流産したら、無かった事にすると。
担任は言った。無かった事になんか出来ないと。

時間は1時間強。自主映画的な作りで、演出も演技も完璧ではない。女生徒たちも全く可愛くない。
しかし、その不完全さ、美少女が居ないリアルさが妙に生々しい。
不快さがカタルシスだった「告白」とは訳が違う。

近大