「軍艦を描いただけでもやばい時代。」少年H kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
軍艦を描いただけでもやばい時代。
商売上、外国人とも交流があった父(水谷)やクリスチャンの母(伊藤)のもとで育った少年はじめは皆とは考え方も違っていた。軍国主義に染まらず、時にはスパイ、非国民と指さされても自分の信念をまげない強い少年H。
向かいのうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が「男同士の秘密だぞ」と言ってアメリカのレコードを聴かせてくれたりして優しい面を見せてくれたが、スパイ容疑のために警察に捕まってしまう。また、女形として俳優としても成功しそうなオトコ姉ちゃん(早乙女太一)は母親の面倒をみる為に映写技師として働いていたが、ある日召集令状が届く・・・
そんな近所の優しい人たちも戦時下で不幸に見舞われる中、少年Hにも受難の日が訪れる。教会のステイプルス先生が故郷のニューヨークに帰り、エンパイア・ステイト・ビルの絵葉書を送ってきたのだが、それを自慢気に見せたことで学校の机にスパイなどと落書きされた。そして、外国人とも接してきた父が特高警察に捕まって酷い仕打ちを受けたこと。軍国主義の中で非国民扱いされても、たくましく生きていこうとする家族の姿があった。
ストーリー的には少年の成長物語といった雰囲気があり、ダイナミクスを感じないが、戦前、戦中の国民の感情が伝わってくる。戦後は、どちらかというと生きていこうとする家族に励まされた父親の成長物語だったかもしれない。
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