「【第二次世界大戦時、先進的な家で育った少年”H"が目で見て、体験した事を描き出す。降旗監督と古沢良太の脚本が描き出す静かな、しかし強烈な反戦映画である。】」少年H NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【第二次世界大戦時、先進的な家で育った少年”H"が目で見て、体験した事を描き出す。降旗監督と古沢良太の脚本が描き出す静かな、しかし強烈な反戦映画である。】
少年”H”:妹尾肇(吉岡竜輝)が育った家庭は、腕の良い仕立て屋盛夫(水谷豊)と、普段は厳しいが根は優しい妻敏子(伊東蘭)と好子(花田優里音)の4人家族。
父母の思想は、当時としては先進的で、家族で教会に通っている。
そのことが、日本の配色が濃厚になりつつあるとき、妹尾家が(当時の愚かな)国家の締め付けの対象となってしまうのだが・・。
日米開戦後、”H"の近所のうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が”アカ”という理由で逮捕。
元女形の綺麗な”オトコ姉ちゃん”も出征するが、戦地に赴く前に行方不明になる。憲兵が探す中、”H"少年は変わり果てた”オトコ姉ちゃん”を見つけてしまう・・。
学校で”スパイ”と揶揄われる少年”H"。
父、盛夫はスパイ容疑で連行され、一晩厳しい”尋問”を受ける。
<こういう場面を何度も映画で観たが、旧日本軍の”特高”と言われた人々の虎の威を借る姿は、本当に唾棄すべきモノである。時代がそうであったのは充分理解はしている積りだが、人間の悪性を突きつけられるようで、観ていて辛い:今作では原田泰三が演じる田森教官の戦時と戦後の姿が印象的であった。>
1945年3月、日本の敗色が濃厚になる中、少年”H"の住む神戸に焼夷弾が降り注ぐ。(この場面での焼夷弾のリアルな映像は今でも覚えている・・)
終戦後、無力感に襲われる少年”H"はある行為を行なおうとするが、前を向き生きていく事を決意する・・。
<降旗監督と古沢良太の脚本が少しだけ、アンマッチだったかなと思いながら劇場を後にした作品>
<2013年8月12日 劇場にて鑑賞>
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