籠の中の乙女のレビュー・感想・評価
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【ヨルゴス・ランティモス監督作品の中でも、最も不条理でブラックシュールな作品。親の妄念で子供を外界から隔絶された”籠の中”に閉じ込めて置くと、子供はオカシクなり、家族はいつか破綻します・・。】
■ギリシャ郊外の裕福な家庭。
一見普通に見えるこの家だが、外の世界の汚らわしい影響から守るため、両親は子供たちを家の中だけで育てていた。
そんなある日、父親が長男のために外の世界からある女性、クリスティーナを連れて来たことで、子供たちの心に変化が起き始める。
◆感想
・劇中、長男と姉妹の名前は一切出ない。もしかして、名前が無いのかもしれない。
・劇中、クリスティーナと長男のSEXを始めとして、矢鱈に無表情なSEXシーンが多い。
・両親は子供達にテープを通して、嘘ばかりを教える。
・子供たちは、遊びをするが普通の遊びではない。
・長男は、平気で猫を惨殺する。
・長女は外界から来た、クリスティーナの持っていたテープを手に入れ、外界に興味を示し出す。
そして、自ら犬歯を叩き割る。(当然、痛そうである。)そして、父親の車のトランクに入り、外界へ・・。
ー 今作の英語の題名は”Dogtooth"である。-
・家を支配する父親は、クリスティーナの家を訪ね、彼女をビデオデッキで殴りつけ、罵りながら部屋を出て、新たな息子の相手の女を2名連れてくる・・。
・ラストは父親の車のトランクがアップになって終わり・・。
<ヨルゴス・ランティモス監督作品の中でも、最も不条理でブラックシュールな作品。
家族の絆を誰にも壊されたくない父親の妄執と、それに振り回されて育ったどこかがオカシイ子供たちの姿を独創的な視点で描き出す。
外界から、遮断された家庭の中に渦巻く不条理と狂気が不気味な作品である。>
最後まで観るのが苦痛
カオス
犬歯が抜けたら…
ロブスター、聖なる鹿殺しなどのヨルゴス・ランティモス監督のサスペンス映画。
最狂の奇行映画でした。
やることなすことみんなおかしい。
一見普通の家族に見えます……か?見えないですよ。
厳格な父親は家族を外の世界へ一歩も出させようとしない。
子供たちは生まれた時からそうなのでしょう。
全く抵抗することなく信じきっている。
ヒヨコが産まれてすぐ見たものを親と思い込む現象と同じですね。
名目上は、外の危ない汚いものに触れさせない的なことですが、完全に洗脳。
堅い床材は遠足、塩は電話、女性の陰部はキーボード、黄色い小花はゾンビ。
「犬は粘土です」は?何言ってんの?
こんな感じの「は?」というルールや奇行がずっと続いていき、特にストーリー的に何かあるわけでもないまま終わる、と言った感じ。
ただ、これが嫌なわけではなく、むしろ次のルールや奇行を期待しちゃうくらい。
シュールすぎて笑える所も結構あって、徐々に自分の中で楽しい映画になっていく。
変態ですね、映画も私も。
家族で四つん這いになって犬の鳴き真似をするのと、目隠しして何分でゴールできるかゲーム、結婚記念日謎の踊りは特にお気に入り。
目を離すとすぐ脱ぎ始めます。
どこがヤバいシーンかというと全てがヤバいシーンなので、とにかく観てみてください。
変態のあなたならきっと受け付けると思います(ただ、猫ちゃん惨殺シーンは無理かも)。
ラストは判断を委ねられる系かな。
無音のクレジットも独特でした。
私的には聖なる鹿殺しよりもこちらが好き。
聖なる鹿殺しと違って全体的に絵が明るいので、これはこれで不気味さや狂気が映える。
わけわからないので、合う合わないははっきり分かれると思いますが、おすすめです!
犬歯
あらゆる不快さを詰め込んだ映画です。この意味不明の家族の成り立ちが...
気持ち悪さが残る映画
筋金入りの変態監督
原題『犬歯』の方がしっくりくるな、と思った。 気持ち悪いゾッとする...
『ロッキー』も『ジョーズ』も観ちゃダメ!
「何のゲーム?」「そりゃ熱湯コマーシャルでは?」と、序盤では一体何を観たのだろう?と疑問符が頭の中にいっぱい浮遊している感じ。まずは自分が勤める工場の警備員女性クリスティーヌを目隠しをして家に連れてきて、息子のセックスの相手をさせる父親。あぁ、知的障碍者の息子の性欲を満たすために・・・と思ってはみたものの、どうも様子が変。とりあえず知的障害なんかじゃなくて、外に一歩も出さずに育てたせいなのだ。長女、次女も同じ雰囲気。カセットテープで勉強らしいことを学ばせようとはしてるものの、小学生に大学生レベルの授業を行ってるようなものなのだ。
ようやく状況が理解できてからも、父親の偏執的な教育方針は変わらず、猫を殺すという凄惨な事件を起こす息子に対しても“死”を教える方法が道理を逸しているのです。そんなヘンテコな家族の歯車も、クリスティーヌの性欲が満たされないために長女に舐めさせ、そのご褒美にとビデオテープを無理やり奪われたことで狂ってくる。
台詞から推測すると、長女は『ロッキー』と『ジョーズ』を観てしまったのだろう。“暴力”というものを学んでしまった長女。父親は怒り心頭。しかし、その罰を暴力を加えるという点で異常にも感じてしまう。犬をトレーナーにまかせっきりなところからしても、教育方針は破綻しているのだろうし、結局は兄妹でセックスさせるところも異常だ。長女はボクシングに興味を持ってしまうし、外界への執着も頂点に達してしまうのだ。
シュールすぎるラストも色んな可能性が考えられ、想像力を掻き立てられる。ギターだけは上手い長男とヘンテコな踊りをする姉妹。“死”についても理解できないまま、“ゾンビ”とは黄色い花のことだと覚えてしまうことも虚しかったり悲しかったりするのです・・・ストーリーはわけわからないのに痛々しいシーンも強烈なため、記憶に残りそうな作品でした。
独創的なダンスはまさに誰の真似でもない
テーマがめちゃくちゃ良い
のですが。
独特の空気、生活音がなんだか生々しさをおぼえて、登場人物の肌を隣に感じるような奇妙さが好みでした。
これがギリシャ感!と馳せつつ、中身はかなりシュールで一部ストレートかつシンプルなエログロ。
バイオレンスも少し?
とにかくそれを淡々。これがこの家族の世界、と素晴らしく完成されてます。
気の狂った一家(子供に罪はないけど)とは対照的に、美しい空や青く繁った芝生などが観る人の不安を煽らせる。
テーマがいいだけに、もっと面白い転がし方があったのでは?と思わざるをえなくて…
ラストのあれは、そうきましたか という感じ。
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