くそガキの告白

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くそガキの告白

解説

映画監督を夢見る不細工な青年と売れない女優が、かなわない夢と非情な現実にもがく姿を描いた青春映画。容姿に強いコンプレックスを抱く32歳の大輔は、映画監督になることが夢だった。しかし、格好つけてばかりで映画を撮ろうとはせず、周囲からあきれられる日々。一方、女優を目指す25歳の桃子は、オーディションに落ち続け、まもとな役がもらえない。ある日、そんな2人が撮影現場で出会い……。主演はお笑いコンビ「キングオブコメディ」の今野浩喜と、グラビアアイドルで女優の田代さやか。今回がデビュー作の鈴木太一監督が、自らの境遇と経験をもとに執筆した脚本で撮り上げ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で審査員特別賞ほか4冠を達成した。

2011年製作/94分/日本
劇場公開日:2012年6月30日

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(C)SUMIWOOD FILMS & Taichi Suzuki

映画レビュー

4.0説教する男は、かっこいい!

2012年9月21日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

幸せ

冒頭から、いきなり持ってかれる。
「信二」も、「ベージュ」も、始まって間もなく、胸ぐらを掴まれるように映画の世界にぐいぐいっと引き込まれた。本作は、そんな威力に磨きがかかっている。「なんじゃあ、これは〜」と呟きたくても、そもそも息つく暇がない。
行き詰まると周りに当たり散らすばかりで、なかなか一歩を踏み出せない映画監督(未満)・大輔。そんなうじうじした男が主人公でも、物語はグダグダから程遠い。ラブストーリー、オカルトホラー、熱血青春もの…様々なジャンルをひょいひょいと跳び移りながら、エネルギッシュに駆け抜ける。
画面からはみ出るほどの迫力や強引さにうっかり見過ごしそうになるけれど、細かなところもスキがない。登場人物への想いと、映画への愛に満ちている。たとえば、「働け!」と母親が押し付ける求人誌には、ちゃんとふせんが貼ってある。お母さんはどんな思いで息子のために求人誌を読み込み、ふせんを貼ったのだろう…と想像はふくらむ。それから、桃子が大輔に振る舞う手料理・肉じゃが。「わあ、ありがち!」と思ったら…なぜか鍋ごと登場。ええ?という思いは、数分後にきっちりと、思わぬ方向で昇華される。思わずにんまりとした。
珠玉の3分11秒「ベージュ」でも感じたが、太一監督が描く、説教する男はなぜか不思議にかっこいい。私も説教されてみたい…なんて思ってしまう。うじうじうだうだしていたはずの大輔も、最後はキメる。彼は、様々な出来事を通していつしか成長していたのだろうか? …いや、これはきっと、成長だけではない。滅茶苦茶でも破れかぶれでも、伝えたいという一途な思いは人一倍、の大輔。きれいな言葉より、そんな必死さこそが「効く」、と改めて思った。自分はダメダメでも、大切な人には(自分のことを棚にあげて)真剣になれる。大切な人へのまっすぐな思いは、自分に対しても、まっすぐに向けられるはず。必死に紡ぎ出した言葉は、口にすることで自分にも響く。そうだ、自分だってまだまだ捨てたもんじゃない、と後押ししてくれるのだ。
人を励ますことで、自分も元気になる。文字にすると当たり前なことだけれど、日常の中ではなかなか実感しにくいことを、映画は確かな手応えとともに伝えてくれる。

(『信二』仙台短篇映画祭「新しい才能」公募選出作品
『ベージュ』オムニバス「311明日」(仙台短篇映画祭制作作品))

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cma

3.0本作のレビューは難しい

2019年7月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

キネカ大森ショートムービー「もぎりさん」一挙公開とそれに続くもぎりさん制作両監督(鈴木、瀬田)および片桐さんによるトークショー、サイン会の熱気が冷め始めた頃に、たどり着いて、観た。(「もぎりさん一挙公開を観られなくて、残念だった、という話です)

本作のレビューは難しいな。
情熱は感じる。ストーリーも成り立っていそう。
ただ、自分は、主人公の思いと同調し切れなかったな。だから、映画監督やってないのかもしれないが。

自虐的なシーンの時間が長いから、ちと辛いのと、ラストは面白いんだけれど、やはり自分勝手に思えてしまう。俺の考え方が綺麗事なのかもしれないなあ…

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CB