「シン・教育現場」映画 鈴木先生 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
シン・教育現場
長谷川博己初主演TVドラマの劇場版。
TVドラマの方は…いつもながら。
ドラマは視聴率は振るわなかったものの、その後口コミなどで評判を呼び、賞を受賞するなど高い評価を得た事は知っていた。
でも、どんな内容かはほとんど知らず。
異色の学園ドラマ…? 一応当たっていたのは当たっていた。
独自の教育メソッドで生徒たちと向き合う国語の鈴木先生。
…と聞くと、熱血な現代版金八先生のようだが、作風はちと風変わり。
向き合う生徒や問題は現代なだけあってかなり複雑化。
鈴木先生はクラスの優等生美少女に良からぬ妄想を抱いている。←オイッ!
真面目なんだけど、何処かユーモラス。
長谷川も『シン・ゴジラ』でシリアスな魅力を発揮していたが、その前はコミカルな役や頼りなさげな役が多かった。
その両方が活かされたハマり役と言えよう。
緋桜山中学の2年A組。
イベント事が続く忙しい2学期のスタート。
来る文化祭。
2年A組は演劇。(ちなみにこの劇が『ひかりごけ』で、最近ダークサイドミステリーで見たばかり!)
成績にもプラスにならない文化祭の演劇にやる気の無い生徒も。
鈴木先生は、普段の生活に於いても“演じる”という事を独自の考えで教える。
生徒会役員選挙。
他の先生からも面倒臭がれ、TVドラマからの何かの関係か鈴木先生を無視している女性教諭が復職。選挙に熱心で、全員参加の公正な選挙を推し進める。
2年A組からは2人が立候補。その内の一人の男子生徒は、過去の経験と自身の考えから生徒会選挙そのものに疑問を感じている。
候補者たちの演説会。全生徒からブーイング浴びながらも、生徒会選挙の在り方を訴える。
やがてそれは…。
学校近くの公園で暇を潰す卒業生2人。
学生時代は“良い生徒”だったが、社会に出たらつまはじき者。鬱憤と不条理を募らせる。
学校は不審者として注意の目を。
ある日、その卒業生の一人が家庭内事件を起こす。
報われない友の姿を見て、もう一人の中で何かが壊れた。
選挙投票日、ある事件を起こす…!
文化祭や生徒会選挙は学園モノらしい題材だが、終盤の立て籠り事件は…。
学生時代は成績優秀もしくは優等生でも、社会に出れば…。
この社会は思い通りにならない事ばかり。
その体現者の卒業生。
それを見て、今とこれからの現生徒は…。
かなり複雑で考えさせられるテーマは悪くないが、犯罪事件は唐突過ぎ。
…あ、いや、でも、実際の教育でも事件は起きてるので、あながち絵空事ではない…?
7年前の作品なので、生徒の中に今は売れっ子も。
土屋太鳳、北村匠海、松岡茉優…スゲークラス!
松岡は背景みたいだが、土屋と北村は大きな見せ場あり。と言うか、生徒側の主役。
特に土屋はまだぶりっ子のイメージ付かず、本当に優等生美少女。とあるシーンのハイキックはカッケェ~!
鈴木先生が良からぬ妄想を抱くのも分からんではない。
総じて、
シュールな笑いありつつ、現代的な教育問題をしっかり浮かび上がらせる。
脚本は名手、古沢良太。
少々突飛過ぎな点もあったが、なかなか面白かった。
何だか長谷川のラストの台詞が『シン・ゴジラ』と被って仕方なかった(^^;
「教え続ける」←『鈴木先生』
「事態の収拾にはまだ程遠いからな」←『シン・ゴジラ』