この空の花 長岡花火物語のレビュー・感想・評価
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あの夏長岡で、日本で起きた事-鎮魂の白菊
焼夷弾が降り注ぐ中、暗闇で逃げ惑う姿が胸に迫る。
慈愛に満ちた眼差しの富司純子さんのしっとりとした演技が心に沁みる。
長岡花火創始者三代目の野瀬清治郎を演じた柄本明さん、タクシー運転手の村岡を演じた笹野高史さんの味わいのある演技が秀逸。
学生達による演劇が、大林宣彦監督ならではの色彩に溢れ、戦争の恐ろしさをインパクトある映像で表現されていました。
この作品で、長岡の花火に込められた深い祈りを知りました。
映画館での観賞
やりたい放題
とにかく冒頭から変な映画でした。
松雪泰子と高嶋政宏が何かとカメラ目線で語りかけてくる。
戦時中と現在の人が会話しまくる。時系列は行ったり来たり。
高校生がずっと一輪車乗りっぱなしで誰も指摘しない。
話としてはずっと滞留してる感じなんだが、
そこに流れるメッセージは「反戦」の一言。
長岡に模擬原子爆弾が落とされた事。
新潟と京都と小倉も原爆投下指定地だった事。
8/1の長岡の大空襲で1,500人が亡くなった事。
だから毎年8/1に長岡の花火を上げ追悼している事。
戦争という人災は憎しみしか生まない事。
それとの対比で、東日本大震災を取り上げ、
劇中でも福島からの避難民や、
福島へボランティア行った人の話も出てきた。
こういう天災も大量の死者を出す事では戦争と同じだが、
思いやりを生み出す事が決定的に違うという事。
それを教えてくれたのが、新潟中越地震の事。
全国、世界中からの思いやりで新潟は復興した。
特に山古志村は壊滅的だったが、その後8割の村民が帰ってきた事。
その大切さを分かっていたから、
長岡はいち早く手を差し伸べたという事。
そして、中越地震復興のシンボルである花火「フェニックス」を、
岩手、石巻で上げたり、花火師の方の同胞が多く亡くなった、
シベリアの抑留地で花火を上げた事。
長岡は山本五十六の出身地でお墓もあり、
真珠湾攻撃は彼が指示したと言われているが、
その長年の憎しみの和解を込めて、ハワイで花火を上げた事。
2011年の長岡花火は、開催直前まで大雨で、
当日奇跡的に開催できた事。
こういったメッセージ、情報はてんこ盛りで、
松雪と高島の話はどーでもよくなる。
でも二人が別れた理由も互いに地元につながっていて、
引いては戦争にもつながっている、という、
処理しきれない事務作業をしながら観る苦痛、
でも最終的には長岡に行きたくなるし、花火観て泣いてしまうし、
この映画を日本のみんなにも、
世界中の人にも見て欲しい映画に思えてくるから不思議。
すごかった
ここ数年、長岡花火を見に行くようになっており、花火を打つ度に空襲について触れられていたのだが、なんのことかあまり分からないでいた。ここまで悲惨な空襲があったのかと、鎮魂の花火を打ち上げる必然性が理解でき、一層特別なものであることが分かった。もっと早く見ておけばよかった。
制服の女の子が一輪車で移動している様子が現実感を薄めていて面白い。焼夷弾の炎が描き割りみたいで、それがまた迫力がある。
「しょう三尺玉」と花火を見に行くと解説であり、「これは小さい方の三尺玉なのか、大は最後かな」と思っているとそのまま終わってしまう。「しょう」は「小」ではなく「正」だったことが分かった。平原綾香の『ジュピター』が掛かるかと思っていたがなかった。
過剰!
映画館で観てなんだかわからないけど感動して、久しぶりにDVD借りて観てみたら、ちょっとメッセージ的なものがうるさいなと感じるところもあった、繰り返しが多かったりテロップがしつこかったり(テロップはちょっと面白いくらいだけど)、それでもやっぱり感動してうわーんと泣いてしまう、シームレスに、過去と未来とフィクションと現実が繋がっていく、でもやっぱフィクションの力・・みたいなところに感動してしまう。
楽しい。
大林作品を見るのは初めてです。
鑑賞前、160分という長尺が若干嫌だったけど、これは面白い。
ぶっちゃけドコがイイとか、楽しいとかは分からない。
けど、これを見れば必ず感じると思うが、こんな不思議な作風は他には無いと。高嶋政宏さんの暑苦しくも清々しい演技、松雪泰子さんのカメラ目線での語り、この監督はドコまでがマジなのか。笑
ストーリーは少し悲しいかな。
とにかく一度見てほしい。不思議な気持ち良さに浸れる作品。
高嶋政宏さんの回想シーン、笑えます。
まだ間に合いますか?
大林監督の映画で有名なのは「時をかける少女」などの、いわゆる尾道三部作などで、日本の街の原風景や出演する若手俳優の聡明さや魅力をうまく表現する監督というイメージが自分の中で強かった。
なので当初、同監督が長岡花火をテーマに映画を作ると聞いて、「時をかける少女」っぽい映画で、長岡という街の魅力を存分に引き出すような映画になることを大いに期待していた。
しかし、"「時をかける少女」っぽい"という意味では全く期待を裏切られる。
展開は演劇をテーマにしているだけあって、
俳優のカメラ目線や台詞の言い回し、字幕の活用も含めて、
まさに演劇風にすすんでゆく。
そして長岡花火の歴史を通じて、
災害、そして戦争などの人災について、
人間はどうあるべきなのか、
という重いテーマが投げかけられる。
「まだ戦争には間に合いますか?」
キーワードは想像性。
この映画に対してもその想像性が多いにためされているなと感じた。
冒頭で監督は、
この映画は「年寄りから若い子どもたちへ捧げるメッセージ」としている。
(さらに言えば最後は監督自らナレーションまでしている。)
残念ながら、これを観た日の映画館内の観客の平均年齢は、時間が早かったことも手伝ってか、優に70歳を超えており、いちばんの若者は僕くらいだった。
たしかに3Dでなくていいし、サラウンド映画でなくてもいい部類のものなので、映画館でみなくてもよい映画なのかもしれないが、
映画のながれる場所は関係なく、
できるだけ多くの人(次の世代のわかい人たち)に見てほしい映画なのだろうと感じた。
期待通り、
よりいっそう長岡という街の魅力を感じる一本なことに間違いはなし。
そして何より、久石譲さんの音楽が一定の力を持って波動のように心に沁み入り、そして震わせられた映画だった。
星は映画を観た後にまで残るこの映画への期待や自らの居住地のバイアスをかけて4.0。
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