「やりたい放題」この空の花 長岡花火物語 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
やりたい放題
とにかく冒頭から変な映画でした。
松雪泰子と高嶋政宏が何かとカメラ目線で語りかけてくる。
戦時中と現在の人が会話しまくる。時系列は行ったり来たり。
高校生がずっと一輪車乗りっぱなしで誰も指摘しない。
話としてはずっと滞留してる感じなんだが、
そこに流れるメッセージは「反戦」の一言。
長岡に模擬原子爆弾が落とされた事。
新潟と京都と小倉も原爆投下指定地だった事。
8/1の長岡の大空襲で1,500人が亡くなった事。
だから毎年8/1に長岡の花火を上げ追悼している事。
戦争という人災は憎しみしか生まない事。
それとの対比で、東日本大震災を取り上げ、
劇中でも福島からの避難民や、
福島へボランティア行った人の話も出てきた。
こういう天災も大量の死者を出す事では戦争と同じだが、
思いやりを生み出す事が決定的に違うという事。
それを教えてくれたのが、新潟中越地震の事。
全国、世界中からの思いやりで新潟は復興した。
特に山古志村は壊滅的だったが、その後8割の村民が帰ってきた事。
その大切さを分かっていたから、
長岡はいち早く手を差し伸べたという事。
そして、中越地震復興のシンボルである花火「フェニックス」を、
岩手、石巻で上げたり、花火師の方の同胞が多く亡くなった、
シベリアの抑留地で花火を上げた事。
長岡は山本五十六の出身地でお墓もあり、
真珠湾攻撃は彼が指示したと言われているが、
その長年の憎しみの和解を込めて、ハワイで花火を上げた事。
2011年の長岡花火は、開催直前まで大雨で、
当日奇跡的に開催できた事。
こういったメッセージ、情報はてんこ盛りで、
松雪と高島の話はどーでもよくなる。
でも二人が別れた理由も互いに地元につながっていて、
引いては戦争にもつながっている、という、
処理しきれない事務作業をしながら観る苦痛、
でも最終的には長岡に行きたくなるし、花火観て泣いてしまうし、
この映画を日本のみんなにも、
世界中の人にも見て欲しい映画に思えてくるから不思議。