「「バトル・ロワイヤル」と比較されがちだが、本質は大きく違う」ハンガー・ゲーム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
「バトル・ロワイヤル」と比較されがちだが、本質は大きく違う
富裕層の余興の為に貧困層の若者たちが最後の一人になるまで戦い合う“ハンガー・ゲーム”が行われる近未来。ゲームに参加する事になったヒロインの孤独な戦いと運命…。
アメリカでは「ハリー・ポッター」「トワイライト」に次ぐ人気を誇るティーン向け小説の映画化。全米公開時は記録的なメガヒットとなった。(アメリカ以外ではあまり受けなかったようだが…)
タフなヒロイン、カットニス(変わった名前だなぁ…)を演じるのは、ハリウッド期待の新星ジェニファー・ローレンス。「ウィンターズ・ボーン」で注目され、「世界にひとつのプレイブック」で今年のアカデミー主演女優大本命。本作でも初々しい魅力と確かな演技力で存在感を発揮し、映画の大ヒットに一役買った。
若者たちが殺し合う…と聞くと、日本ではお馴染みのあの映画を思い浮かべる。言うまでもなく、「バトル・ロワイヤル」。
なので、似てる!とかパクリだ!とか日本公開時は散々叩かれた。(その為か、日本では不発)
確かに設定は似通っているが、本質は大分違うと、実際見て思った。
「バトル・ロワイヤル」で描かれていたのは、混沌とした社会の荒波と大人たちの都合に振り回されながらも、それらに対抗し逞しく生き抜こうとする若者たちの強い意志だったと思う。
勿論本作でも社会への不条理は描かれ、カットニスの存在はやがて周囲に波紋を起こすようになるが、サバイバルもヒロインに襲いかかる危機も恋模様も話を盛り上げる為の要素に過ぎず、ゲーム感覚。結局はエンターテイメントで、若者たちの強い意志の描写は弱いと言わざるを得ない。
この違いは結構大きい。
しかしながら、管理社会・格差社会への風刺はピリリと効いている。
貧困層は何時代!?と思うほど貧しい暮らしなのに対し、富裕層は馬鹿みたいに派手なメイクや衣装で飾り立てられ、何処までも滑稽だ。
先にも述べたように、本作はエンターテイメント。
若者たちの生死を賭けたサバイバルやヒロインの戦いと運命、淡い恋模様や次作への展開などを素直に楽しんだ者勝ち。
ちょっと尺の長さも感じたが、無難に楽しめたかな?