「学ぶべき命の尊さ。」ハンガー・ゲーム ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
学ぶべき命の尊さ。
原作も映画も本国では若者層に大ヒットしたんですってね…。
早い時期から何度も流れていた予告編からして、どう観ても
もっと残虐性の高い、ただの殺人ゲーム作品だと思っていた。
でもって、何でそんな下らない作品に、あのJ・ローレンスが
出てるんだろう?って…J・ハッチャーソンも勿体ないなぁと。
設定にしても内容にしても、新しい部分はほぼ皆無。
さすがティーン向けとあって、ゲームの見せ方はまぁ無難だし、
当然三部作ともなれば、主人公が死ぬワケないでしょう、うん。
だからきっと多くの若者層(日本の)が期待したような内容では
なかったんでしょう…^^;まぁそれは観て分かる気がしたなぁ。
しかし、ということは逆説的に、私には面白い作品だったのだ。
これっていわゆるゲームの内容如何よりも、その世界観よりも、
主人公達が於かれた極限状態と、ノーマルな精神を持つ人間が
葛藤する心理ドラマに重きを置いてる。彼らが生きる未来国家の
在り方に最大の問題があるのはいうまでもないが、とりあえず
この一作目では国民を牛耳るための策として執り行われている
ことくらいしか分からない。まぁ他作などでも、こういう連中の
心理なんて、どうして??の範囲でしかないのだけれど。
独裁者側にはそれなりの言い草があり、まぁ向こうも人気取りに
必死なのが分かる。これは早いこと全12地区が一気に手を組み、
打倒!独裁国家!となっちゃうのが一番早いんだけどねぇ。
今作でもとある地区で、ちょっとその片鱗が見えたけど…。
でもそれだと一作目で終わっちゃうから、まだ続かせるにはね。
もうこれは今後のJ・ローレンス次第、ってことなのかしら。
(ってことは、このカットニス嬢は、まだまだ出場するわけねぇ)
まだ年端もいかない子供達(ノーマルに育った方)は本当に普通の
少年少女達で(更に貧しい出なのね)、
殺人兵器に育てられた子供達は(どっかの国みたいに)幼い頃から
殺人英才教育を受けていて、ゲームのために生かされてる感じ。
どちらにしても、国家のオモチャなわけだ。
そしてそのゲームがあることでビジネス益を得ている層もいるわけで。
やれスポンサーだの、アドバイザーだの、オリンピックか!?と
(まぁある意味そうなんでしょうけど)思うほどやることが派手で大胆。
アホがヒマになるとこういうこと(戦争)しか考えない、っていう
(オリンピックのことじゃないですよ)そのあたりもよく分かる。
大人しく従っている国民が気の毒で仕方ないが、バカバカしいと
分かっていながら戦いに身を投じなければならない時代(御国の為)
を生きた人々からすれば、とても他人ごとには思えない世界である。
私はどうしてもこれが戦時中の若い特攻兵に見えて仕方なかった。
勝たねば死ぬことが分かっているのに、
まるでそれが名誉であると恐怖から信じ込まされてしまうか、
信じちゃいないけど、家族のために戦わなければならないという、
選択肢すらない世界。そこに富裕なアホは感動してるんだもんね。
オマエら、自分の子供にそんなことできるのか!?ってやつよ。
このドラマ、ほぼ完全にJ・ローレンスの独壇場。すごいわ彼女。
ある意味「ウィンターズ・ボーン」と被っている感じで、まぁ巧いの何の。
実際に森に住んでそうだし^^;、何でも獲って食べてそうだし^^;、
またもや家族のために…ってお姉ちゃんが頑張る設定なのよねぇ。
この子、もうこういう役しかこないんじゃないかと思うくらい(失礼)
堂に入ってるというか、元々子供ったらしい演技をする子じゃないから。
この映画がつまらない人でも、彼女の演技は観る価値アリ。
そしてお相手J・ハッチャーソンも負けていない。
この子も昔から子供ったらしい演技をしない子なので、善にも悪にも
なれるタイプの俳優。化け応えがあるのは得な一面になったのね。
二人ともアイドル系じゃない顔だしね(ゴメン)
そういう二人だから演技の上では観応え十分!キャストは問題なし。
向こうでは大ヒット!したらしいから第二弾も製作中。
こちらではどうなるか分からないけど^^;
ゲームよりドラマ重視で観るなら決して損のない映画。
私は少なくともあのヴァンパイア映画(ネチャネチャクドクドのやつ)
よりはずーっと良かったけどなぁ。
(サッサと立ち上がれ、民衆!しかし白塗りのE・バンクスは強烈だわね)