「ゲーム内容より主人公の心情描写が最大の魅力」ハンガー・ゲーム 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲーム内容より主人公の心情描写が最大の魅力
全米で3億ドル超のヒットを記録した『ハンガーゲーム』が日本上陸!
……と書いてみたが、!を付けるほど本作に期待してた訳じゃない僕です。
ベストセラーやセンセーショナルな題材の映画化作品が売れるのは
日本でもよくある事だし、ヒット作=出来が良いとは限らないし。
さて本作、あらすじだけ追えば『バトルロワイヤル』(以下『BR』)と内容が酷似してるが、
観れば分かるように『BR』とは少々路線が異なるので単純に比較はできない。
『BR』は社会的要素が強いが、本作はもっとティーン向けというか、
『リアル鬼ごっこ』等により近い印象か。
しろいるかさんのレビューで初めて知ったが、本作はS・キングの小説
『死のロングウォーク』から着想を得てるそうな。成程、あちらは殺し合いでは無いが、
最後の一人になるまで若者達が歩き続けるというゲームだった。
しかーし、悲愴感も独裁制の恐怖描写もキングが上じゃあッ!!
(↑キング至上主義者の妄言です、無視してください)
けど本作が悲愴感や恐怖に欠けるのは確か。
独裁政府が強権的な行動を見せるシーンは殆ど無いし、
迫害される地区の人々も、あの程度の描写ではまるで貧困が伝わらない。
いざゲームが開始してからも悠長な展開が続くので、
(あんな展開の遅いゲームに数日も拘束されるスタッフや視聴者も大変だ)
結局、何が何でも生き残る!という必死さが伝わってこない。
あとラスト。
メディアを逆に利用して政府に一矢報いるという展開ならまだ良かったが、
(第11地区の反乱にはグッと来たもの)
最後は結局メディアに“おんぶに抱っこ”で生き残った感じで、爽快感は薄かったなあ。
政府への反逆云々より、カットニスとピータと地元の恋人との
三角関係がティーンの心をくすぐるのかしらん。
続編も既に製作決定してるらしいので、次から本格的に
独裁政府に戦いを挑む話になるのかも。
単品でも満足させてほしかったと不満は残るけどね。
だが、主演のJ・ローレンスは見事!
彼女の心情が丁寧に描かれる前半のドラマが、実は一番の見所だったかも。
妹への子守歌や母への叱咤から伝わる、家族への強い愛情。
元来から意志が強いのではなく、『意志を強く持とう』と努めている少女。
強い瞳が時々揺らぐ様子に人間味を感じる。
結局、彼女が映画内の飢餓感(ハンガー)をひとりで背負っていた。
彼女の演技に判定1.0プラス。
<2012/9/29鑑賞>
きびなごさん、こんにちは。
コメントをありがとうございます。
ハンガーゲームは、残念な内容でしたね。
(第11地区の反乱にはグッと来たもの)に、同感です。
そこから、一気に巻き起こる反乱を期待したのですが、
時期尚早でしたかしら???
もっと面白く作れると思うのですが。
何だか、もったいないですね。
「勝手にキング映画特集」、懐かしく面白く読ませて頂いております。
でも、あまり内容をしっかりと覚えていなくて、
≪忘れちまった悲しみに≫も浸っています。
機会があれば、また観賞したいなと思っています。
「勝手にトニー・スコット映画特集」も待っています。
次回レビューを楽しみにしています。