「誰にでもいる「世之介」」横道世之介 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
誰にでもいる「世之介」
本編終了後、スタッフロール見て、
「あ~、やっぱりこれ沖田監督か」という感想。
「南極料理人」「キツツキと雨」と作り方似てます。
だから、まったり、してます。
その、まったりさ、がそのまま世之介に被ります。
ずっとまったりしてるから、160分という長尺に不安になったんだが、
時々、昔から今(或いはちょっと前)に戻る時がエッジが効いてて、
その今の人たちの話から、世之介の人物像を作り上げるという、
巧妙な作りになってます。
じゃあ、横道世之介ってそんなにすごい人だったの?、
と言う訳ではなく、ごく普通の大学生。何者でもない。
でも彼のことを語る人たちは、皆笑顔になる。
そのエピソードを見てる、自分も笑顔になる。
何か不思議な映画でした。
(因みに、沖田作品は大体見てて笑顔になります)
こんな感じで、昔のある人を語るのは、
作りが「永遠のゼロ」にも似てるかなとも思ったけど、
世之介を悪く言う人がゼロなので、
ちょっと「偉人化」され過ぎな気もしますが。
話の筋は、1987年の1年間がメインなので、
その時代を知ってる人にはすんなり入ってくると思う。
結構細かい所まで時代背景描写が凝っていて、
突っ込みたくなる「あるある」が多数散りばめられてます。
世之介こと高良健吾、ダサイ感じを頑張ってます。
そして、その場の雰囲気をすべてさらってしまうお嬢様・祥子。
というか、これは祥子じゃなくて吉高由里子そのものかも、
とすら思わせる彼女の存在感は圧倒的。
この吉高さんは、特に昔の祥子は、ダントツにカワイイ。5億点です。
あと沖田映画の特徴として、脇役の変な人多数。
一番はまったのは祥子の屋敷のメイドさん。あれはずるい。
それと、安定の余貴美子。
この映画の人たちが、笑って世之介を想い出す様に、
自分もこの映画を、笑って想い出す映画になりました。