「優しさのかたち」ル・アーヴルの靴みがき kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさのかたち
アキ・カウリスマキ作品はこれが初めて。期待を裏切らない、独特の空気感に出会えた心地よさが残った作品となりました。
仏港町、ル・アーヴルを舞台に、靴磨きの男と不法侵入の少年。また、男の妻や彼らをとりまくご近所さん。人間同士が紡ぐ優しさのいろんな形を、押し付けるのではなく、何気なく置き、見つけ出させてくれるような、さりげない感覚。
そんな類いの善意は、一つ一つは小さくても、それが結集して力を生み、事態を好転させるのだと思いました。
そして助けられた少年も 一度は命をあきらめた妻と主人公の二人のこれからも、心憎い警部や街のご近所さん達も・・いったん物語はおしまいになりながらも、またそれぞれの新たな始まりを予感させてくれるような終わり方が(小ぶりで控えめ、でも空に向かって咲いていた桜の木が、それを象徴しているように)気持ち良かったです。
奥さんの旦那様に対する愛の強さは無表情なのに、とてもこちらに伝わってきて、この最終展開はファンタジックでもあり、ちょっと感動しました(笑)
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