「完全超能力マニュアル」クロニクル ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
完全超能力マニュアル
ある日トリセツも渡されず用法用量も使用上の注意も教えられずに突然サイコキネシスが発症しちゃったらそりゃあ最初は楽しかろうけども直に拗れて抉れてこういう結果になっちゃうよね。
という、非常に分かり易い無軌道に破滅まっしぐらのシアトル高校白書に仕上がっております。うん、これは楽しい。
いや本当ね、見応えありましたよ。
モキュメンタリー形式の物語展開もVFXの絶妙なさじ加減も、低予算を見事に逆手に取った大胆さというか。満足度高いです。
で、超能力を手に入れちゃった主人公を「思春期まっさかりの境遇恵まれてない系非リア童貞ティーンエイジャー」に据えたのはベストチョイスだなあと思って。多分ここが一番物語として優れてる設定だなと。
まず分別ある大人が超能力に溺れて暴走するってちょっと説得力に欠きますもんね。
サイコキネシスに対するリテラシーも何もなく倫理観や道徳心も曖昧なまま正義感すら固まってない思春期非リア童貞君に、清く正しく超能力を使いこなせる訳ないですもの。
スパイダーマン的な心で居られるほど聖人君子でもないし、ヒーローでもない。
そりゃあ、こういう結果になるだろなと。
だからこそですよ。
後半のダイナミックなサイキック合戦が生きてくるのは。
陰と陽の戦い。
まるでX-メンのプロフェッサーXとマグニートーの様な関係(ちょっと違うか)の、親友との聖戦に胸が熱くなる。
ファウンド・フッテージの新たな地平ですよね。
この新人監督ジョシュ・トランクの次回作、リブート版「ファンタスティック・フォー」も俄然期待してしまう訳であります。
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