「ストーリーよりも視点が現代。」クロニクル ひちょさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーよりも視点が現代。
アル中の元消防士の父親に暴力を振るわれ、病気の母を助けることもできず、学校でもいじめられる日々。
そんな少年が基本の視点となるこの映画。
彼が手に入れたカメラを通し、最初は彼が見る世界がスクリーンには映しだされていく。
冒頭、力を手に入れて楽しむ三人は見ていても楽しい。
そして、途中からカメラを浮かす事も出来るようになった少年アンドリューは、今までとは違い明るくなっていく。
さなか、苛立ちと共に車を事故らせてしまう。それによって人を傷つけてしまう。
今まで遊ぶだけだった能力。だがこれは人をも傷つける道具になる。
そんなところから彼らはイロイロおかしくなっていく。
でも、アンドリューにとっては、その力は唯一無二のもので、そして人気者にもなる。
だけどやはり彼の感情と共に力は暴走してしまう。
そんな様子を、今度は様々な視点のカメラが映し出す。
これが面白い。
他人の視点だったり、全く別の視点(監視カメラ等)だったり。
見ていると、これだけの目がいまの世の中にはあるんだなーと思う。
特にラストのアンドリューを映し出すシーンは、現在の社会の象徴かも知れない。
無数の視点。無数の無関心。無数の無責任な関心。等などなど。
兎に角ラストシーンは、イロイロ考えるところがある。
もし彼らが速くあの場所に向かっていたら何か変わったのか。
いや、変わらないのか。
子供だからこそ未熟な精神が人を傷つけ自分を傷つけ、能力に翻弄されていった話。
単純だからこそ、この視点がイイスパイスになっていたのではないかと思う。
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