劇場公開日 2012年10月20日

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「失望」希望の国 moriさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0失望

2012年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

園子温監督の「冷たい熱帯魚」に衝撃を受け、注目していたのですが、今作は本当にガッカリな作品でした。ガッカリ度合いは、映画レビューサイトでこの作品について低い評価をされている方々のコメントを読んでいただければ、私の気持ちはほとんど代弁されているので割愛しますが、そんな低評価群の中でも、この点に突っ込まれているコメントを発見できなかったので、自分で書いてみることにしました。

映画の中で、こんなセリフがでてきます。
「一歩二歩三歩なんて今の日本人にはおこがましいですよ、これからは一歩一歩一歩一歩一歩ですよ。」

このセリフに感銘を受けている方も多く見られたのですが、私には、まったくもって謎なセリフでした。
なぜ「おこがましい」のか?さっぱりわかりません。
災害に見舞われたのに「おこがましい」とは?さっぱりわかりません。
まるで、何か悪いことをした結果、現在の惨状(地震・津波)が起きたかのような物言いに激しく違和感を感じました。
しかも、「日本人」という他人事な物言いにも違和感を感じました。

「このセリフが印象的だった」と好意的なコメントをされている方達の中には、「一歩二歩三歩なんて今の『私たち』にはおこがましいですよ、…」と、セリフを間違って記憶されている方も散見されました。
それほど、このセリフにハマるのは、『日本人』という言葉ではありません。
なぜわざわざ『日本人』と特定的な表現を選んだのか?
激しく違和感を感じるセリフでした。

それまでも感情移入などしていませんでしたが、このセリフが出てきてからは、穿った見方しかできず、尚のこと、この映画から感情が遊離していきました。

映画もメディアの一種と考えれば擁護するのも仕方ないのかもしれませんが、
「テレビは嘘をついていない。医者が嘘をついているんです。
(だから悪いのは、メディアではなく医者)」
といった意味合いのセリフにも激しく違和感を感じました。
そんな詭弁をよくも堂々と言って退けたものだと。
iPS細胞虚偽の森口氏の事件もホヤホヤなだけに、頭の中が疑念でいっぱいになりました。

こうなってくると、やたら「杭」に何かの象徴を求めようとする演出まで、穿った見方が湧き上がってきます。

「メディアの責任」はあると思います。
園子温監督も、自分の作品に責任をもつべきだと今回は感じました。
注目していた監督だけに、本当にガッカリです。
正直、「希望の国」は、園子温監督の作品だから見ました。
何の下調べもせず、文字通り「園子温監督の作品だから」見たのです。
今後は「園子温監督の作品だから」見ないかもしれません。
それぐらいガッカリました。

mori