「自由とか正義とか平等とか意味がある言葉なのか」トガニ 幼き瞳の告発 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
自由とか正義とか平等とか意味がある言葉なのか
そのことを、しばし、韓国映画は、真摯に激烈にみせてくれる。同じ東アジアの、この、ネクラな風土の中で日本映画と比べたら、情熱、情念、主張、嫌悪、不寛容、その伝える、伝わる熱量の差は圧倒的だ。
ムジンが白い霧に包まれる街と喧伝するのとは裏腹に、まさに黒い霧で覆い隠す街だった。双子の設定、地元キリスト教団の長老、警察もグル、前科者や困窮者を雇用し不正な金賄賂や私服になる金を合法的に吸い上げる基金とか、いろいろセットがあってそれが全てリアルで、すべてが弱者を収奪し人として生きることを許さない構造になっている。そのことを裁く法廷すら、根拠となる法律すら、正義も平等も自由もない。日本も同じだけど、最後また悪人クズどもが名誉回復
という希望のなさ。
イノは仲間と子どもたちのために戦ったがミンスや子ども達との約束は守れなかった。卑劣な人間のクズ人間以下の奴らを懲らしめることも罰を与えることができなかった。
法廷最後の裏切りにも、クズ人間共のカラクリがあり、最後は放水車で、、、この映画の元となる事件は光州だったのか、ほんとにクズだなと思うし、日本ならこのような闘い抗いはなかったかもしれないし、このようには描かれないかもしれない。イノも自分の人生、子や親への責任と板挟みながら自分の信じることをとりあえず追いかけ、母親も悪態つきながらも、目をつぶり普通の大人として社会の悪をやり過ごしたら良いのか人としての義を通したら良いのか、仏頂面で迷い揺れ動く。
事件は終わらず、このようなクソ人間は今も世界中にたくさんいて今もたくさんの子どもがクソ人間に蹂躙されているのだと思うと、悔し涙しかでない。
それにしても子どもの役者さんにはきつい映画ではないかと思った、R18映画に子どもをここまで関与させるのは厳しい(のでテーマ重要だが満点ではなく、)片や、勇気ある制作であり社会を変える力になりうる、、、、厳しい。きつい。子どもをめぐる極悪非道な事柄は本当に胸を締め付けられるし許せない。