「最高だけどモヤモヤする」パシフィック・リム 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
最高だけどモヤモヤする
巨大ロボと怪獣がスケール感たっぷりで大暴れで闘いまくることを懇切ていねいな描写で描いているのは非常に最高なんだけど、気になるところがいくつかあって困った。
予告で見ていたら、もしかしたらパイロットは直接乗らずに基地から遠隔操作で操縦するのかと思って、だとしたら嫌だなと思っていたらちゃんと乗り込んでいたので安心した。
ところが、二人乗り込むってなんだよとイライラした。一人では神経に掛かる負担が大きすぎるので二人にするとかいう設定なのだが、どんな仲良しでも二人で息を合わせて車を運転できるかという話だよ。シンクロとかフィギュアスケートならともかく、操縦を二人でするなんて4倍神経が磨り減るに決まっているし、しかもその際記憶が共有されてしまうというのもとんでもない話である。
親子で乗り込んだら、両親のセックスをまざまざと見せつけられるし、自分のみっともないオナニーを親バレしてしまう。菊池凛子がパイロットになることを、長官が猛反対していたのは、芦田愛菜ちゃん時代に養父となっていたのだが、いつしか男女の関係になってしまっていたことがバレるからみたいな話だったらコクがあってよかったのにと思った。
ストーリー自体が割と一直線でシンプルだったため、一人のパイロットでは物語として持たないという跡付けな判断だと思うが、それを採用するならもっと踏み込んだドラマにしろよとイライラした。
怪獣が一体何を考えて人類を襲っているのか、あんまり意図がわからなかった。別世界の人らが怪獣を使って人類を滅ぼして資源を持っていこうという設定だったようだが、人類なんか滅ぼさなくとも、無視して採掘くらいいくらでもできそうであった。それを思うと、ゴジラはシンプルながら、ただ暴れに来るだけというのが迷いがなくて素晴らしかった。
他にも武器がもうない、まだあるわ!剣よ!みたいなのもとてもバカっぽかった。怪獣を売買しているおじさんが食われたのに骨折もせず、体もとけてないというのも、ギャグなんだろうけど、ギャグだらかでは済まされないくらいいろいろ台無しにしている感じはあった。
とはいえ、面白かったのは間違いなく、2Dで見たので3D吹替えでも見に行くつもり。