「何かが欠落したダメ人間たちが根性で怪獣に立ち向かう姿に魂が焦げます」パシフィック・リム よねさんの映画レビュー(感想・評価)
何かが欠落したダメ人間たちが根性で怪獣に立ち向かう姿に魂が焦げます
80年代のメインストリームカルチャーはとにかくカラフルで軽快でクリーンでオシャレ、すなわち持てるがゆえにモテる男女だけが楽しむものでした。美しい恋愛こそが全て。All We Need is Loveが曲解された世界は美しい男女のラブストーリーを美しくない男女が崇拝する異教に支配された。かつて老若男女が親しんだ大衆文化はストウブの鍋蓋のように重い莫大なゴミ情報の下でペシャンコになり、ジブリ印のアニメ以外は人の目に触れない日陰の存在となった。そんなくだらない世界を破壊し尽くすために深海に突如出現した時空の裂け目から巨大な怪獣が這い出してきた!・・・そんな怨念が絶対発想の原点にあると思います。
主な登場人物はほとんど見た目も精神的にも何かが欠落してるダメ人間ばかり。そんな連中がドン詰まりの地球の為に根性で立ち向かう、ここ20年ほど成仏出来ずに彷徨っていた我々の魂がスクリーンの向こうに吸い取られてしまったかのような極上のカタルシスに酔いしれながら眺めていたエンドクレジットのオーラスに飛び込んでくる一言に我々うだつの上がらないオッサン達は嗚咽を洩らしました。
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