「映画のちから。」ゼロ・グラビティ 加藤プリンさんの映画レビュー(感想・評価)
映画のちから。
映画のちから。
映画の持っている、本当のちから。
うわあ、これ、もう、どうなっちゃってるの??
映画がとうとうここまで来たか。
3Dであるってことの理由を、必然を、こんなに感じたのは初めて。
これまではUSJとかのアトラクションじゃないと体験できなかったものが
映画館で見れるんだ。
映像作品じゃないんだよね。もう、これは体感作品なんだ。
だって、「うわあっ!」て思わず声が出ちゃったり
「ぶつかる!」って足をビクッと縮めたり。(笑)
ストーリーもいいんだよね。
物語もさることながら、台詞がいい。
たったふたりきりの登場人物なんだけれども、そこに流れる人類愛、思いやりに
思わず涙するほどの暖かさを感じて。
絶対零度の宇宙空間だからこそ、それが浮き上がってくるんだけれども
本来それって、地球上の、ありふれた家庭とか職場にも本来、あるもので。
それを再確認するために、やっぱり人類は、宇宙へ出て行くんだと思った。
あと、科学知識を総動員して見ると、想像力の翼がはばたくんだ。
古典に教養や素養があれば楽しめるのと同じで、
この映画には科学知識が必要で。
宇宙空間での、反動の事とか、燃焼の事とか、気圧の事とか。
知ってれば知ってるほど楽しめるし、また、それだけ、映画のウソも見えてくる。
リアルを売りにしてるから、そこで興ざめちゃうってのは、罠で。
酸欠で幻を見て、ジョージ・クルーニーが「奇想天外に」帰ってくるのだって、
名場面になっちゃうのだし
消火器を推進剤代わりに宇宙遊泳とか、それこそ荒唐無稽なことだって
映画だから、楽しめちゃうのであって。
だって、映画なんだから。
ウソはウソとして、ウソを楽しむのが映画なのであって。
そう言う意味では、物凄く、映画のちからに溢れた作品だったと思う。
3Dの必然性を、その可能性を示してくれたのには感謝。
本当に見れて良かった。ありがとう。