「クルー兄のテーマ。」ゼロ・グラビティ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
クルー兄のテーマ。
かなりの宣伝文句に(アカデミー賞確実!だって)早く観たいと
思わせる期待作だったけれど、映像以外は印象に残らなかった。
宇宙空間の無重力状態を圧倒的な映像美VFXで魅せたのは凄い。
真っ暗な闇が広がる宇宙空間が奥の奥まで見通せるような臨場感。
映像体験としては、確かに素晴らしかったと思う。
音のない宇宙空間なんだけど、常にラジオからの音楽みたいな
軽快なメロディが、まるでJ・クルーニーのテーマのように流れてて、
こっちも意外と飽きさせない。
音楽よりも私はサンドラがギャーギャー喚く声の方が煩さかったな。
これ、もちろんこんな極限状態で、しかも経験値ゼロ・グラビティでの
話になるので想像もつかないことだけど、個人的に一番の問題点が
私にはサンドラが、ど~しても、博士には、見えないことだったのだ。
(ゴメンねぇ、ホントに)
どうも私にとってのサンドラ嬢は、下町の威勢のいいおねいちゃん。
ややオバサン化したとはいえ、顔もキレイだしスタイルもいいので、
特に申し分はない容姿なんだけど(ホントは仕事でも才女だしね)
何だろうな、昔のメグ・ライアンみたいな感じでイメージが沈着する。
この人にはコレ。のような思い込みが強すぎて、どうしても博士??
という風に最後まで見えなかった。やはり下町のおねいちゃんだった。
だって何か起こる度に「クソ!」とか「バカみたい!」とか言うしさぁ。
彼女に知的な部分を見出せぬまま終わってしまったのが悔しかった。
そこで、それを埋めてくれたのが、我らがダグ兄ことクルーニー。
宇宙遊泳記録を作るなんて、まさに彼ならではの役どころじゃないの。
さらに不測の事故によって彼は不幸な結末を迎えることになる。
なのに!何だろう、あの再登場シーンでは劇場が笑いに包まれたぞv
彼あってこその危機脱出、彼あってこその地球への帰還だったのね。
ここが笑えて、一番泣ける箇所でしたねぇ、私にとって。
あとはもう、ドラマというより映像の無限な広がりを楽しむ映画。
これが90分で終わる意味が、観てみてよ~く分かったというところで、
おそらく好き好きは分かれるけど、体験しておくと勉強になる作品。
(しかしロシアで爆破、中国に救われるっていう^^;いかにもな展開)