「素晴らしい」ゼロ・グラビティ mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい
思えばこの映画は、主人公のライアン・ストーン博士の役の争奪戦があったはずで、そのときから考えると、よく完成にこぎつけたものだ。
そのアルフォンソ・キュアロンの情熱は、フィルムに見事に焼きつけられている。
映画のプロが「どうやって撮ったんだろう」と不思議がるオープニングの超長回し。いろんな監督が無意味にやる長回しとは違って、この長回しで我々は宇宙空間にいることを認識させられる。その威力は終盤まで持続する。
結末はある程度予測できるものの、映像が見せるその世界観は、生き物の本能を揺さぶるもので、あらためて、生を受けた意味を考えてしまう。
映像で物語る映画監督。アルフォンソ・キュアロンは本作で、間違いなく映画史に残る映画監督としてその名を刻むことになるだろう。
そして、僕は、何か落ち込むことがあったときこの映画を観ることになると思う。
映画には、ある種の力があると、常々思っているが、今日はそのことをあらためて思い知った。
素晴らしいものを見せてもらった。
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