ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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ラストで印象ががらりと変わる異色作
【鑑賞のきっかけ】 本作品は、アカデミー賞を受賞していることと、トラのCG表現が素晴らしいということで、着目したけれど、未見でした。 予告編を見ても、トラと漂流する少年が映るばかりで、何となく、退屈な映画、と感じてしまったためです。 今回、動画配信にラインナップされているのを発見して、時間のある時に鑑賞してみようか、と。 【率直な感想】 やはり思ったとおり、全体的に物語に起伏は乏しく、物語に没入するには至らず。 それでも、ちょっと意外だったのは、少年が一緒に漂流することになったのは、トラだけではなく、オランウータン、ハイエナ、シマウマと、複数の動物がいることでした。 また、さすがに、トラのCG表現は文句なしであるし、全体的に映し出される大海原などの情景がとても綺麗で、多くの方は、この辺りに魅了されて鑑賞したのだろうな、と思っていました。 ところが。 ラスト近くになって、状況は一変します。 最初は、意味がよく分かりませんでした。 でも、視点が現代に移り、今は大人となった少年の回想を聞いていた、相手方の男性の台詞に、大変に驚きました。 本作品は、動物たちとの漂流という、ファンタジックなイメージでいたけれど、それは全く違って、ファンタジーとは真逆の世界を描いている作品なのだ、と。 私は、ミステリ小説が好きなのですが、密室トリックやアリバイトリック、といった古典的なトリックのほかに、20世紀末くらいから、着目されるようになったトリックがあります。 それは、「叙述トリック」と呼ばれます。 ミステリ好きでない方は、ピンとこないかもしれませんが、この「叙述トリック」というキーワードが、私にとっては、本作品の特徴を一番的確に表現できると思い、この言葉を使用させていただきます。 本作品は、叙述トリックにより、ラストに至るまで、観客は、実際とは全く違う情景を観てしまう作品です。 【全体評価】 ラストになって、これほど物語全体の印象がこれほど変わる作品はとても珍しく、貴重です。 しかも、それが単なるミステリ的な面白さだけではなく、奥深い人間ドラマが浮かび上がってくるという物語構成については、アカデミー賞受賞も納得の秀作と感じています。
疑問を投げかけるような作品
映像、BGMがすばらしい。 パイが小説家相手に語るシーンから始まり、回想シーンのあと、再び語るシーンで終わる。 全体に仕掛けがある。 深く考察して楽しむこともできるし、考察しなくても楽しめる。 「おしっこ」というニックネームが氣に入らず、「パイ」と全員に呼ばせるエピソードから察するに、パイは名前にこだわる。 名前と言えば、トラの名前の由来。 “のどが渇く”は英語で“サースティ”。 リチャード・パーカーという人物は、『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(1838年刊行 原作:エドガー・アラン・ポー 自称実話をもとにした長編小説)に被害者として登場する。 刊行の約50年後に小説の内容を再現したかのようなことがあり、被害者の名前が同じリチャード・パーカーだった。 エドガー・アラン・ポーが50年後の実話をもとにしたとしたら、タイムパラドックスだ。 パイの父親は、数ある宗教をどれも選ばなかった。 独自で創った決まりを家族に守らせていた。 父親の教えを守る家族は、小さな宗教みたいなものかもしれない。 肉を食べない決まりをおそらくパイは守れなかった。 父親の言うことが正しかったと彼が言っている。 数ある宗教の物語のどれも、信じられないようなファンタジー要素があり、それでも人は信じたいものを信じる。 選ばないという選択もある。 彼が最終的に選んだのは、父親のように独自に宗教を創ることだったのかもしれない。 ラスト、パイが小説家相手にどちらが好きか聞いた。 人の氣持ちをコントロールする話術や情熱もある。 人は好きなほうを選択する。あるいはどれも選ばずに自分で創り上げる。 今作で氣になる場面は、島が人で出来ている描写だ。 世界中に巨人もしくは巨大な動物の形をした島がある。 歴史は本当だろうか。 宗教は本当だろうか。 人類は本当のことをどれほど知っているのだろうか...
凄まじい冒険記
スラージシャルマ扮するパイパテルはカナダ にいるインド人。元はインドに住んでいていつも生きがいを探し求めていた。家族とインドを離れた船旅で嵐の夜に船が沈没。パイだけがかろうじて救命ボートに乗ったが、オランウータンとシマウマとハイエナとベンガル虎のリチャードパーカーが同乗していた。虎に襲われながらボートの先にイカダを作り虎から逃れた。でも魚を捕らえて虎にも与えた。 ボートに飛び込むトビウオの 群れは凄いね。リチャードパーカーとともに過ごした凄まじい冒険記だね。一生懸命話ても誰も信じないかもしれない。
映画館で見たかった
ブロークバック・マウンテンがとてもよかったので公開時から見ようと思ってたのだけど、なんとなく邦題が気に入らなくて(ネタバレだし)見逃してて、ようやく重い腰を上げて見てみた。とりあえず映画館で見なかった自分を責めたい。 ストーリーについては終盤、自分にはよくわからなかったし、一応、こうではないかみたいな感想はあるのでネタバレを調べようと思うのだけど、見てる間は映像の美麗さ、海、動物、魚たちの美しさにぐいぐい引き込まれた。動物だけではなくて、主人公の褐色の肌もとてもきれいに思えた。CGだろうし現実にはありえない、人間が不快と感じる部分を省略した、美化された映像なんだよなと思うのだけど、ハラハラドキドキ感と合わせて不思議と引き込まれる。自分は普段はありえない演出だと醒めてしまうのだけど。アン・リー作品が次に公開されたら映画館に行こうと思う。
この映像美は類を観ない
めくるめくとてつもない幻想的な映像の連続に、完全にノックアウト。こんなに素晴らしい映像ってそうはないと思う。これを3Dで観たらあまりの美しさに卒倒してしまうかも。 本作については様々な観方があるようだが、私は映像美を楽しむだけでもう十分だ。
レビュー書き忘れ!
この作品は当時、映画館であまり観たい作品がなくて、消去法でたまたま選んだのですが、すごく良かった作品でした。 とにかく海とか空とか、動物の毛並みとかもあまりに美しくて、終始うっとりしながら観てました。 もちろんドキドキハラハラもしましたが、凪のシーンや満天の星空、今でも覚えてます。 公開からもう10年以上経つのか…。それでもあの美しさは心に焼き付いてるし、映画館で観るべき作品だと思います。4Dとかでも観たいけど、そこまで入らないかな?
んー、話はわからんでもないけど、
漂流するまでもちょい長く感じ、漂流してからも長く感じて、それでも評価が高めだから一応、「で、このあとどーなんの?」みたいなかんじで見てた。 まあまあ、その後の展開は、「ほおおー」ではあった。 最後の最後、終盤に。 個人的には、クセのある英語も気になってたけど、「そういう展開の、せっかくカッコいいストーリーにするなら、もっとコンパクトにしてもよかったのに」とも思ったかな。 中だるみしてた感もあったりで。 CG感も多く、そりゃ、それだけCG使ってたら幻想的にもキレイにもなろう、と。 最後は「おお」と思えど、そこまではー、ってなかんじだったなあ。
子供の頃読んだ冒険記を
追体験させてくれるような映画。ワクワクドキドキ感を上手く表現出来てるが、特筆すべきは映像美。血なまぐささはことごとく省いて、船の沈没もその後洋上で起こる自然現象も徹底してことごとく美しい映像で描ききっている。 その違和感は、要は真実はこちら的な謎解きみたいなものなんだろうが、映画としては謎は解けずしても充分楽しめる。
パイ青年のサバイバル冒険物語
なのかと思いきや! インドのポンディシエリにある動物園に住む少年パイは、家族の事情で動物を売りカナダに移住することになる。売り物の動物たちとともに日本の貨物船で移動をしていると、ある日大嵐に見舞われ、家族と離れ離れとなりながらも一人救命ボートで脱出する。 嵐が過ぎ去り、救命ボートを見回すと傷ついたシマウマが倒れていて、オランウータンが大量のバナナの房をいかだ代わりに救命ボートまでたどり着く。すると、ボートの幌の中からハイエナが現れ、傷ついたシマウマを襲い始める…。 ここまで、トラはまだ自宅の動物園パートでしか出てこない。まあもちろん最終的に救命ボートにはトラとパイが残り、猛獣ゆえの油断したら食われる恐怖と戦いつつも、なんとかトラも自分も生き残れるように奮闘していく。 だけどいかんせん大海原の上、まずもって飲めるの?食べれるの?問題を解決しなければいけなくて、あの手この手で食料を確保するんだけど、魚にごめん!って謝っていたり、いちいちインドらしい。 そういえば、貨物船のシーンでお母さんがベジで、と言ってもそもそもベジ食など貨物船にあるはずもなく、コックと衝突するシーンがあったけど、これ南インド人あるあるで、めちゃくちゃベジタリアンが多い。まあ宗教上牛ダメ豚ダメでお肉はチキンかマトンだけって地域なので、お肉食べなくても全然OKらしい。なので、インド人が海外に行くとまず食事の面で大変苦労します。更にインドに行って食事する外国人も大変苦労します。 どーでもいいインド豆知識でした。 作品の流れは非常にゆったりしていて、時に記憶が若干飛んでしまうぐらいフワーってなる音楽と映像が流れてくる。特に夜のシーンはどれも美しい…が故に目をゆっくり閉じて、おっとっと、となる。 何しろ227日も漂流しているけど、そんなに毎日イベントがあるわけもなし、やっぱりここの退屈さをやり過ごせるかどうかが大変重要。 パイとトラの関係もそんなにガッツリと硬い友情で結ばれるわけもなく、そりゃ普通に獣と人間ですからね、なんとか共存できる、という感じ。このあたりにバディ感を感じる演出を期待されるとちょっと肩透かしかも。 と、ここまでは物語の90%ぐらいのレビューなんだけど、この物語せっかく見始めたなら絶対に最後まで観て欲しい。最後まで観たか観ないかで全く印象が変わってくる。 何故最初に宗教の話を長めに持ってきたか、ヒンディってどんな宗教なのか、いろいろな要素を頭の中に留めつつ、ラストシーンまで辿り着けた時に、今まで観てきた映像が全て違ったものに観えてくる。 そこの凄さに+0.5、でも全体的には静かな映画でした。
夢の夢
少年は終始トラと会話をしていた。 言葉として、視線として トラを恐れ、トラを信頼した。 アン・リー監督による神秘的で美しい物語。 大きなスクリーンの映画館もいいが ひとり、ふたり、と静かな夜の鑑賞もいい。 心地よい夢のような映画を体験できる。 ※
美しければそれでいい
6:4でファンタジーの話だが、もともと漂流船自体が現実的ではないので気にならないし、美しい、不思議、感動を与えてくれるものならそれでいい。夜光る海(夜光虫?)、クジラ、イルカ、トビウオの大群、そしてトラとの漂流。 最後の保険屋向けの後日談は要らない。 アカデミー賞撮影賞受賞、うなずける。どうしたらあんな映像が取れるのだろう、たとえCGだとしても。
面白い。生きることが奇跡なんだ、と言葉にするとダサいんだけど、とい...
面白い。生きることが奇跡なんだ、と言葉にするとダサいんだけど、という事を映像体験として見せてくれる作品。 パイの話が作り話だったとしても全然構わない。
船が難破してしまいトラと少年が漂流するお話。 オープニングからラス...
船が難破してしまいトラと少年が漂流するお話。 オープニングからラストまで不思議な雰囲気。 映像が神秘的で綺麗でした。空と海が一体に見えるシーンなど、映像というか一枚の写真、絵を見ているようで惹き込まれる。 この映像美を観るだけでも、この映画は観る価値があると思う。
命の舟
2002年度ブッカー賞に輝いた ヤン・マーテルの「Life of Pi」 原作「パイの物語」 世界的にベストセラーとなり 当初すぐに読破したものです。 ラスト 語りの章が印象的。 少年パイが乗る船が遭難し ベンガルトラのリチャード・パーカーをはじめとする 動物たちと共に227日間を過ごすという物語。 (トラに名前があるのです) その映画化に 驚いたものでした。 日本の貨物船が、嵐に巻き込まれ沈没 家族と離れ、救命ボートに投げ出されたパイ少年。 気が付くと、シマウマ、オランウータン、ハイエナ そして、ベンガルトラのリチャード・パーカーが・・・ 少しの食料と水しかないという困った状況下 パイ少年が、 人生の中で学んだ事を知恵とし 諦めず強く生き抜こうとする姿が素晴らしいです。 気を緩めたら襲いかかってくるトラと 共存してゆく少年の極限の精神状態も ハラハラ・ドキドキ 途方にくれるシーン、幻想的なシーンも多く 美しい映像と (Coldplayのparadise)音楽が 張り詰めた気持ちを和らげてくれます。 物語の登場人物が重要なので、 要チェックですね。 ラスト・・どちらのお話を信じたいかは その人の解釈というか、価値観です(^▽^;) DVDで再鑑賞
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