臨場 劇場版のレビュー・感想・評価
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面倒な奴だらけ
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無差別殺人を犯した奴が精神病の演技で無罪を勝ち取った。
それに関わった弁護士と精神鑑定医が2年後に殺される。
遺族の犯行かと思われたが、主人公の師匠的な医者が犯人。
ガンで余命を宣告され、この事件を個人で裁く道を選んだのだった。
知識があったので死亡推定時刻を偽装できたので疑われなかった。
さらにこの無差別殺人犯自身も殺そうとするが、主人公が来て止める。
そんな中でこの医者は無差別殺人犯により殺される。
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検視官が主人公という設定は悪くないが、キャラが好きでない。
偏見かも知れないが、敬語さえ使えない大人には何の魅力も感じない。
しかも医者が殺人を犯すのもちょっと動機が弱すぎると思うし、
主人公が助けに来たのに、無差別殺人犯が医者を殺すのもおかしい。
あと、8年やっけ?警察を恨みながらも警察官を続けて来た平田が、
突然血迷ったような行動に出るのも理解できない。
まあそれなりに面白かったけどね。
でも主人公にしても遺族の母親にしても無差別殺人犯にしても面倒な人間。
何でこんな面倒くさい奴ばっか出てくるねんって思った。
あとこの映画の段田安則は阪神の渡辺にしか見えない(場)
内野聖陽さんのファンなので・・・
2012年。原案:横山秀夫。監督:橋本一。
キャッチコピーは「物言わぬ死者の声を聞く、それが彼の使命」
彼とは検視官の倉石義男(内野聖陽)
通り魔殺人事件の犯人(柄本佑)が心神喪失との鑑定で無罪になった。
刑法39条・・・心神喪失者は罪に問われない。
この事件により起こるの波紋を多重的に描いた作品です。
その事件の被害者とその遺族。加害者(犯人の波多野)
加害者は本当に心神喪失なのでしょうか?
検視官の倉石義夫は通り魔殺人の被害者の検死に当たります。
まず鑑識官全員で手を合わせて拝み、鎮痛な表情で真摯に死体に向き合う。
2年後。
波多野を無罪にした弁護士と波多野を心神喪失との鑑定した精神科医が
殺された。
捜査本部は通り魔殺人の遺族(若村麻由美)の犯行と考えるが、
倉石は次の2点から犯人は別にいると推定する。
鋭利な刃物で動脈を躊躇いもなく確実に切断して死に到らせてる点。
そして、死亡推定時間を操作した痕跡に着目する。
この映画は本当に至れり尽くせりの脚本です。
通り魔殺人事件で運命を狂わされた遺族の心情。
犯人・波多野の描写・・・この柄本佑がまた上手い。
知能が高くて狡猾しかも良心のカケラもない虚言癖の男。
波多野の担当弁護士と精神鑑定医の人柄。
娘が殺された遺族は、裁判で無罪になるなら自らの手で私刑を課したい・・・
そう思うのが本当の心情です。
その辺りを若村麻由美がエキセントリックに演じます。
倉石の重い病(重病です)は悲劇を盛り上げる常套手段で、やや興醒めですけれど、
内野聖陽が演じれば、説得力を持つのは卓越した演技者だからですね。
ラストの見せ場もなかなか派手で劇場版ならではのスケール。
長塚京三の重厚な演技がとても品よく良かったです。
贖罪~終身検視官・倉石義男、最後の事件
"日曜洋画劇場特別企画" で4回目の鑑賞。
原作は既読、
TVシリーズはつまみ食い程度に視聴済みです。
謎解きの面白さよりも、胸に深く染みる人間ドラマをじっくり描くことがシリーズの持ち味だなと改めて感じました。
通り魔事件で狂わされたそれぞれの人生。怒りの矛先を向けるべき犯人は刑法第三十九条に守られている。残忍な罪を犯しながら何故裁かれないのか。法は誰のためにあるのか…?
その事件を担当した弁護士と精神鑑定人の連続殺人を契機に人間模様が交錯し、胸の内に秘めていた想いが溢れ、ついに暴発していく様が悲しくて、とても考えさせられました。
独自の視点で真相に迫る倉石に病魔の影が。蝕まれる体に鞭打って事件関係者の心を救わんと奔走する姿に胸を打たれた。
「根こそぎ拾う」。彼の信念が炙り出した驚愕の真実と、その先に待っていたやるせない結末に、心が震えました。
本作以降、続編がつくられていないのが残念。倉石はその後亡くなってしまったのでしょうか。2時間サスペンスでも良いので新作をつくって欲しいと思う今日この頃です。タイトルは2サスっぽく「臨場~終身検視官・倉石義男」で(笑)。
[以降の鑑賞記録]
2020/01/26:日曜プライム
ちょっと期待はずれ
テレビで放送していたので見たが、ドラマよりも盛り上がりにかけ、ただ不幸をたくさん集めただけという仕上がりでげんなりした。
テレビ放送なのでカットされている部分があるかもしれないが、事件が二つあったせいか、登場人物が多くいろんな人物の上辺だけをさらっと撫でたような感じで焦点が散漫だった。
ドラマの検視シーンは専門的で面白かったが、今回は犯人が検視の内情を分かっている人物なので、証拠や落ち度が少なく、検視での見せ場が少なかった。
また、立原管理官とその上の人物も倉石を買っていて、ツンデレなだけで障害にはならないので、淡々の物語が進んでしまう。
終盤、サスペンス物のドラマにはお決まりの犯人との会話シーンは無駄に長かった。片手間に見るだろうと想定されるドラマならともかく、腰を落ち着けてみる映画にあんなやり取りはいらないと思う。それまでに十分に伝わっているし、いきなりの長台詞で緊張感に欠ける。
倉石を神のような位置に置いてしまったのが残念。恩師の犯罪が分かったならその時点でもっと苦悩しないのか。
死んでも同情のしようのない人物が殺されて、犯人が分かったとき、それを黙っていようとは思わないのか、そのあたりを倉石でなくても、小坂、永嶋あたりにやって欲しかった。
難しい
完成披露試写会に参加させていただきました。出演者の舞台挨拶もあったので満足でした。作品は重いテーマを描いているので賛否両論かもしれませんが、私は楽しんで見る事ができました☆
生き様とは。
テレビでは、1~2度見ただけ。
内野さん演じる倉石の仕事へのこだわり、情熱が伝わる作品。
ストーリーが良いな~と思ったら、横山秀夫さん原作だった。
疑問点が残らず、そうだったのかと納得できるストーリーだった。
犯罪の加害者と被害者。
どちらの心にも深くメスを入れた作品だった。
≪もう、こうなったら自分がやるしかない≫
それは、犯罪であっても良いのか?!
命の限りが見えたら、そうしないでもない。
クリント・イーストウッド監督も同じような作品を作られたね。
悪い奴がとことん悪く、被害者の無念さを思い、遺族の悲しみに胸が震える。
「死」を迎えるとは、どういうことなんだろう。
「死」が迫ったら、どうするだろう。
できるだけ家族や友人などに迷惑をかけずに、亡くなりたいものだけど、こればっかりは、どうしようもないか。
それぞれの、覚悟の上の生き様が、素晴らしい。
そう言えば、トム・クルーズは、「ラストサムライ」で、≪どう生きたか≫と言っていたな~。
何を罰し何を救うか。
残念ながらドラマ版は見ていなかった。
なのでキャストそれぞれの立ち位置も、今作を観ながら。
特に説明もなく、段々と片づけられていく主人公・倉石の
自宅が、冒頭の映像の意味を物語り始める。
なるほど、もう死期が近いんだな…この人は。と。
それにしてもかなり凄惨なシーンが展開されるのが特徴。
幾らドラマだ、映画だ、と思ってはいても、
今回と同じような無差別殺人事件が後を絶たない最近の
世の中のニュースを、顔を背けたくなるほどの臨場感で
延々と見せつけてくる。実際に被害に遭われた方だったら、
この映像をどう感じるのだろう。ただ、理不尽な死に方を
余儀なくされた多くの犠牲者には言葉もないという事件だ。
娘を失った母親(若村麻由美)は未だにその街を徘徊する。
なぜ娘がその時、その街にいたのかすら分からない。
こんな酷い仕打ちを受けたうえ、犯人が心神喪失無罪では
どんな遺族とて犯人をぶっ殺したくなるというのは当然だ。
2年後に起きた、当時の関係者に対する連続殺人事件の
巧妙な手口に、警察の見解に対し異を唱えるのが今回の
倉石の下した検視となるわけだが…。
何しろドラマを観ていなかったので(原作も知らず^^;)
この倉石率いるチームの役割と、警視庁の内部事情など、
観ていて分からない点も多く、おそらくこれは…こうだろうと
何となしに納得しつつ、観進めていった。
しかしその、分からない中でも際立つのがキャスト其々の
演技と説得力だった。分からなくても面白い。惹き込まれる。
ドラマ時代から卓越した演技を見せていたんだろうな~と
思わせる倉石役の内野聖陽に、松下由樹、高嶋政伸、段田安則、
若村麻由美、柄本佑、平田満、長塚京三…とすごい顔ぶれだ。
これで面白くなかったら、相当脚本と演出が悪いことになる^^;
物語の方は…後半かなり突っ込みどころも多い作品だったが、
検視という仕事の綿密な作業と経験による積重ねの理論など、
観ていてまったく飽きなかったし、勉強になった。
それにしてもあのラストの解釈は…どう考えるのが妥当なのか。
あまりに悲しい気がするが、もしまたドラマ化されたなら
見てみたいと思わせてくれる一本だった。観応え、かなりあり。
(内野さん、べらんめぇな役が上手いわねぇ。俺のとは違うなぁ~)
法と人との隔たりは埋められるか
ドラマ版は最初の何話かを観たが、「俺のたァ違うなぁ」と感じて鑑賞中止。
シナリオの出来にも不満はあったが、決め台詞を無闇やたらと連呼するのと、
一部キャストの演技が冷や汗が出るほど浮いてる点に辟易したというのが理由。
ファンの方にはブン殴られるだろうが、このドラマの松下由樹って桜島大根級の……やめとこ。
本作を観たのは、監督が橋本一だから。
ドラマ版の演出も手掛けている彼だが、劇場版ではどうかと思って鑑賞した。
ひとまず上記の不満点はかなり払拭されていて安心。
決め台詞も物語に違和感無く織り込まれてるし、
一部キャストも……我慢できる(新たに平山浩行という大袈裟演者もいたが)。
何より本作、悲惨な事件に遭遇した人々の哀しみを描くサスペンスドラマとして十分な見応えがあった。
サスペンスというのは凝ったトリックやシナリオじゃなく、
遺恨や愛憎といった人間の感情を描けて初めて生じるものだと思う。
連続殺人の真犯人は序盤で読めたが、
娘を殺された母、
息子を“殺された”警官、
命の尊厳を汚す者を憎む医大教授、
(長塚京三が素晴らしい)
3人の憎悪が集約する終盤は“誰に何が起こってもおかしくない”という非常な緊迫感があった。
が、クライマックスの会話が極めて冗長、事件の顛末が予定調和、
そして、柄本佑演じる通り魔がただただ邪悪で姑息で卑小なクズとしてしか描かれない点が残念。
やはり彼なりの動機を聴いてみたかった……納得できるかは別としてね。
不必要に人の命を奪う人間は赦し難い。
遺族が犯人に殺意を覚えるのは至極当然だ。
だがそれを殺してしまったら、自分が憎悪する相手と同類になってしまう。
思うに、悪意を以て殺人を犯した人間はその時点で、
“自分や自分の大切な人々が殺されても文句を言えない立場”に自分を追い込んでいる。
自分の大切な人々の存在価値までをも地に落としている。
「大切な人などいない」とあなたが言うなら、僕にはもう何も反論できないが。
歯痒いが、一個人が人間の尊厳を守りつつ犯人に制裁を加えるには、
倉石のあの最後の一撃が限界なのかも知れない。
だからこそ、誠意無き精神鑑定や横暴な捜査を見抜く為の“法の目”が整備されんといかんのよ。
真実を白日の元に晒し、重罰か軽罰かに係わらず、皆がその裁量に納得する為の“法の目”が。
きっと理想論だけどね。
以上! 重苦しいが、良作です。
<2012/6/30鑑賞>
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