劇場公開日 2012年4月14日

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オレンジと太陽 : 映画評論・批評

2012年4月10日更新

2012年4月14日より岩波ホールほかにてロードショー

父親譲りの姿勢で白人権力者の傲慢さを描出したジム・ローチの長編デビュー作

オーストラリア史の隠された事実を映画で見るのはこれが2度目だ。ひとつはフィリップ・ノイス監督の「裸足の1500マイル」(2002)。1930年代から70年代まで続いたアボリジニ差別政策に抵抗した少女の物語だ。当時の政府は、アボリジニの血統を絶やすため、少女を強制隔離し、収容所に入れてイギリス社会の使用人にするべく教育。さらに白人男性と結婚させて混血児を産ませるという残酷な政策を実施していた。アボリジニの少女を救うための福祉政策だと称していたのだからあきれる。

この「オレンジと太陽」で描かれるイギリスからオーストラリアへの児童移民も、身よりのない子供を労働者として育てるためという建前で、イギリス政府の承認のもと、教会や慈善団体が実施していたのだという。だがその実態は児童虐待以外の何ものでもなかった。人道という隠れ蓑を着た白人権力者社会のなんという傲慢さ。そして暴力。その真実を知るためにも、見逃してほしくない作品だ。

だが、ジム・ローチ監督が描こうとしたのは権力への怒りだけではない。悲劇的な子供たちの体験エピソードをたんたんと語りながら、そこをサバイバルしてきた生きる力の強さにも目をとめている。連れてこられたその日から40年間床磨きをしてきたという女性にも、修道院での虐待をサバイバルして事業家になった男性にも、働くことで生活を築いてきた自負がみなぎっている。そして、その先に彼らが求めているものは、自分の出生を知ること。

主人公マーガレット(エミリー・ワトソン)の調査で明らかになる<児童移民>の実態に驚き、この問題がどう決着するのかという不安で張りつめていた緊張の糸が、母親がどんな人か知りたいという彼らの思いに辿り着いたとたん、ふわりと解け、涙腺がゆるんだ。

(森山京子)

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