「『無意味』なことに打ち込むってダサいですか?」桐島、部活やめるってよ ブッチさんの映画レビュー(感想・評価)
『無意味』なことに打ち込むってダサいですか?
原作は読んでいません。軽く調べてみたんですが原作とはだいぶ設定やニュアンスが異なるみたいですね。
必要最低限のセリフと演出で観ている人に何かを感じさせているように思いました。
最近の映画では珍しく観客の想像力を刺激する良い作品だと思います。
人物描写がとても繊細で「リアルだなぁ」と感心した所が多々あります。特に学校という、ある意味閉鎖された空間で起こりうる人間関係のヒエラルキー(階級)は自然でとてもわかりやすく「すげぇなぁ」と感心。自分はこれだけでも観る価値ありだと評価します。
ただ友達とワイワイしながら観る作品ではないですね(笑)一人で観ることをおススメします。
とりあえず自分が鑑賞してみて勝手に思ったことを
(以下完全にネタバレ↓↓)
なぜバレー部桐島キャプテンは部活を突然辞めたのか??
同じ部員にも親友にも恋人にも何も告げずに彼は辞めてしまったんですね。
一番気になるのはこの出来事なんですが・・この作品、重要な始まりと終わりの事柄をわざと失くしている。なのではっきり「こういう話だ!」と言えないようになってる。観た人によっては「ワケがわからないよ!」となっても仕方ないですね。監督に聞かないと無理じゃねって感じで(笑)
しかし至る所にヒントというか妙にひっかかったことが多々あり。
特に自分が気になった所が
なぜ宏樹は野球部に参加しないのに部活道具を毎日持ってきていたのか
なぜ野球部のキャプテンは夏が終わっても練習や自主練を行っていたのか
なぜリベロの小泉はレギュラーは無理なのに練習を頑張っていたのか
なぜ前田は映画監督は無理だと思っているのに映画を撮っているのか
なぜ宏樹は前田のインタビューを聞いて号泣したのか
最後の宏樹が号泣するシーンを観た時なーんとなくわかったようなわからないような(笑)
前田はクラスのヒエラルキーの中で底辺にいる人間。宏樹は馬鹿にはしていませんが"下"に見ていたのは間違いないでしょう。しかし前田の映画を撮っている理由を聞いた時、とてもカッコよく眩しく見えたのではないかなと思います。同時に自分がとても中途半端でカッコ悪く見えたんじゃないかなと。
以下妄想です。
宏樹はスポーツ万能ですが一人で野球部を引っ張り甲子園なんてほぼ無理。たいした結果も期待できないのに野球部を続けるのは将来的に「無意味」と考えたのではないかと思いました。それよりも塾に通い勉強を頑張るべきではないかと。桐島が部活を辞める前に宏樹は野球部をサボっているようだったので桐島ともそういった話をしていたのでは?宏樹と桐島はどうも似た者同士のような気がしてならなかったので桐島も宏樹と同じ状況(バレー部の近況を聞く限り)で宏樹と同じ結論に至ったのではないかな。
自分が出した結論はこんな感じでした。
ラストシーンで宏樹は桐島に何を言ったかはわかりませんが非常に気になります。まぁ映画に答えなんてないし人それぞれだと思います。「こんな感じ方もあるんだなぁ」ぐらいに思っていただければ幸いです。