「初めて共感できた学園ドラマ」桐島、部活やめるってよ comuchiさんの映画レビュー(感想・評価)
初めて共感できた学園ドラマ
金八的なドラマを観ると、何かイベントやトラブルをきっかけにクラスがひとつにまとまったり、仲違いしてたグループが打ち解けたりする。でも、実際にはそんなことない。本屋大賞を獲った「夜のピクニック」を読んでもなんかむず痒かったし、私は今まで学園モノで共感できた作品ってなかった。大人が書く作品には、実際には使わない若者言葉が出てくることもあるかもしれない。女子が「~だわ」とかって絶対に言わないのに、今でもドラマやCMでよく使われてるよね。
この作品は高校を卒業したての朝井リョウが原作ってのと、エチュードをとりいれながら演出したっていう吉田大八の手腕とが相まって、非常に上手に「いまの子のリアル」が描けていた。(30代半ばの私が言えるかっつー話はおいといて)
桐島は評判がいいのは聞いていたけど、「スクールカーストをきちんと描いた」だけなのかなーと思っていた。そしたら「スクールカースト上・中・下」とかそんな生やさしいものじゃなくて、いろんな立場の子をきちんと描いていたことにびっくりした。
いろいろな人の感想を見たけど、言及している人がいなかったと思うのは、女子4人組の2人組×2 からなるリアルな構成。4人組を構成しているのはちょいワル系といい子系なんだけど表面上は仲良くしていて、ふとしたときに ちょいワル>いい子 の関係性が透けてくる。そしていい子組はちょいワル組を心の底では少し軽蔑している。
だったら分裂すればいいのに、って話だけど、いい子の方は上位のちょいワル2人にくっつくことで得られるメリットも多いんだろう。ちょいワルの方でも、いい子からノート借りたりとかあるんだろう。そして、2人だけでつるんでいると、片方が風邪ひいたときに1人になっちゃうリスクがあるんだよね。そういうもろもろのメリットやリスクヘッジがあって、2人組×2の4人組があるんだ。
これ以外にもいろいろな場面で設定が細かくて、リアリティに満ち溢れたステキな映画なのに、映画リテラシーの低い私ときたら 【1】桐島が出てこない、という設定に映画半ばでやっと気付く 【2】肝心の飛び降りシーンには気づかなかった 【3】バド部の地味な方がバレー部の小さい男子に惚れてたということにも気づかなかった ・・・いう有様なので、ぜひもう一度観てみようと思う。
私は中高時代がすごく嫌で、早く大人になりたかった。
勉強に精を出しつつ、なるべく学校の外に身を置くようにしていた。
でも映画部部長を観ていたら、彼のようにサブカルどっぷりの仲間と語り合える場に身をおいてもよかったかもな、て思った。