「邦画の中で好きな映画」桐島、部活やめるってよ ポールさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画の中で好きな映画
すごい映画ですね
噂話の題名からして桐島出てこないフラグですよね
ここに桐島はいないという象徴だと思います
学校という社会の縮図に
崇められる存在として確立してしまった桐島
これは勝手な想像ですが桐島は
本当の自分を見ていない、知ろうともしない友達と、自分の立ち回り方に限界がきて、ある日キャパオーバーしたんじゃないのかなと観てて思いました。
若さゆえに、依存していた者たちのメッキが剥がれ脆く崩れていく様は観ていて面白いです。
客観的に見ると典型的な嫌なやつが沢山出てきます。
無意識にマウントしたり
人を選んで態度を変えたり
空気読んで仮面かぶったり
人の不幸を喜んだり
気に入られようとしたり
ずるいとこもあったり
裸の王様のやつの方が
腹黒いやつよりマシに思えたり
浅はかで愚かな気持ちを持ったことがあるから
自分を見ているようで辛くなります。
この感情を持ったことがない人っているんですかね?
日本で育った日本人ならではの感情を読み取れる、邦画の醍醐味なんじゃないかなと思いました。
ちゃんと心に問いかけてくる作品。
そして、クライマックスの屋上シーンが爽快です
この映画の爆発する瞬間、最高でした
学校という濃縮された世界を舞台にして
純粋で熱くて切なくて色んな感情が生まれる
自分と違う生き物と生活するのは行き詰まる
剥がれかけたメッキがちゃんと剥がれる
自分の中で大事なものが分かり、ここで戦うと決めた瞬間
ひと騒ぎ終えた後に、前田にカメラを向けられカッコいいよと言われた宏樹が涙するシーン
自分は興味すら持たなかった前田の存在。
少し会話しただけで前田は賢くて、自分よりずっと出来た人間に思えた。その真っ直ぐな瞳が追い打ちをかけてくる。
それまで自分の空っぽさに目を背けていて、それにちゃんと気付いて情けなくなり涙したのかなと思いました。
宏樹が変わった大事な瞬間だと思います。
最後、前田が部員に教えるセリフが
この作品の最大のメッセージだと思うのです
《戦おう、ここが俺たちの世界だ。ここで生きていくしかないのだから》
こんな感じのセリフだったかなと
結局、この自分でしか生きていけない
誰にもなれない、どこへ進もうと
その時置かれている環境で生きていくしかない
飛び出して別の世界へ行くか
そこに行かず篭るか
そこの世界で戦えない自分は死ぬか
大人になっても上手くやる奴は上手く立ち回れるし、不器用な奴は不器用なりに頑張るしかないんです。
その中でやりがいとか幸せを見つけるのが人生だと思います。
辛い時には、前田君の言葉を思い出して頑張っています。
人生は自分のものだ
戦おう、生きよう