劇場公開日 2012年8月11日

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「青春映画の傑作」桐島、部活やめるってよ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0青春映画の傑作

2016年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

難しい

おぉ、これは面白かった!
劇場鑑賞を見逃し、その後日本アカデミー賞を受賞した際には、は?何でこれが?と見てないのに疑問符ばかりが出てきて、それから何となく今まで敬遠していたのですが、すいません、見たら素直に面白かった、日本アカデミー賞も納得の秀作でした。
タイトルにもなっている主人公?桐島が出てこないと言うのは何となく噂では聞いていたのですが、なるほどなるほど、この内容ならそれも納得、この映画は高校生活に確実に存在する階層社会を描いていて、その頂点に君臨する桐島が部活を辞めたと言うだけでその階層がガタっと崩れ、様々な人に影響を及ぼす様を描いた作品だったのですね。

同じ時間軸を複数の視点で何回かに分けて描く羅生門方式だったのも、見る側の視点によって感じ方が全く違ってくるようで、思わず唸らされました。
同じ学校の同じ場所で同じ時間を過ごしていても、個々の立場によってその出来事の意味合い、感じ方は全く違う、その見せ方が本当に素晴らしかった!
何の影響も受けない最下層の人達、それに比べて桐島依存で成り立っていた上層部の人達のアタフタぶりと言ったら・・・この対比具合が何とも言えず面白かったね。

高校生活に存在する階層社会って、一旦出来上がってしまったら、それは卒業するまで殆どの確率で崩れない強固な階層なんですよね。
部活のエース的存在、またはモテ系、この二大要素を持つ物が最上位に君臨し(何故か勉強が出来るだけでは入れない)、その友人が上位の恩恵を預かる、そう言えばあったあったと思わずあの頃を思い出してしまいましたよ、東出昌大や松岡茉優のモテ系グループにどこか劣等感を感じていたあの頃の苦い思い出を(苦笑)

しかし決して崩れることのないはずの階層が、桐島が部活を辞めたと言うだけで大きく揺らぎ、そしてラストは今まで交わることの無かった最下層の人達と上層部が入り乱れる、まさに壮大なラスト、いやぁ面白かったぁ。
本当に格好良いことって何なのか、それに「彼が」気付けたラストはホント素晴らしかったです。
ところどころ映画ファンのツボを刺激するオタク的作風にもニヤリ、しかし橋本愛のまさかのアレは、神木君じゃなくても切なくなるね、でも、これが現実なんだよなぁ、残念ながら。

スペランカー