劇場公開日 2012年7月21日

「本作の意義について【再レビュー】」おおかみこどもの雨と雪 ワオンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0本作の意義について【再レビュー】

2012年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

幸せ

既に本作のレビューは書いていましたが、それは一旦削除して再度改めてレビューを書かせて頂きました。まかまちさん(当サイトに「これは作品です」とのレビューを書いた方)へのコメントを書くにあたって思う所がありましたので。

本作は賛否両論ですね。まああくまでネット上では、という事ですけども。

当サイトに限らず、本作に対する低評価レビューを読んで私はものすごく違和感を感じていました。というのも、誰一人この映画の意義について論じてないんですよね。そこには殆ど触れずに、あくまで手法についてレビューされてる。

本作は、東日本大震災後の日本に対して希望的なメッセージを打ち出した、初めての映画じゃないですか?

相次ぐ景気低迷や社会不安。原発の問題も有る中で、「子育てと巣立ち」にひとつの答えを見出した本作は、きちんと評価されるべきだと私は思います。

はっきり言って上記の問題に正面向かって作られた映画って、ありましたっけ?私は知りません。当然ハリウッドなど海外映画には出来ないので(日本自身の問題だから)、日本の誰かが作らなければいけなかったんです。それがアニメ作品だった、というのが何とも日本らしいですけどね。

細田監督は本作でただ「母親の子育ての大変さ」や「可愛らしい理想の母親像」を描きたかったのではなく、何とかして「子育てと巣立ち」をヒロイックにロマンチックに描きたかったんだと思います。それが多くの人の励みになると信じて。

まだ未見の方は、是非とも劇場に足を運んでもらいたいです。それだけこの「おおかみこどもの雨と雪」は素晴らしい作品です。

ワオン
kita-kituneさんのコメント
2012年9月14日

 震災云々は飛躍しすぎではないでしょうか。

 私は予告編だけを見て作品鑑賞に臨んでいますが、震災関係のことは露ほども思い浮かびませんでした。妙にリアルな背景描写や運転免許証を遺影代わりに・・・といった部分に実在の社会と照らし合わせてしまい、すんなり作品世界に入り込めない感じもします。父親の死亡届など、どうしたのだろうとか、最後、息子がいなくなってしまうことについて周囲にどう説明するのか、などなど・・・普通の映画ならそんなに気にならないかもしれませんけど。

 また、子を持つ父親としては、父親が死んで・・・というシチュエーションによる父親不在など、母親だけががんばっている風なストーリー展開というのはさびしく感じます。精神的支柱にはなっているんでしょうけど、母子の絆は強調され、父親はいなくていい存在のように描かれる部分で、手放しには賞賛できないものを感じます(この作品としては妥当な展開とは思いますが)。

 ただ、田舎に行くにあたり、しっかり腰を据えているのは描かれており、これの少し前の実写による座敷童の映画に比べると、好感は持てました(件の実写映画はロクに田舎に居座らず、都会に舞い戻る結末で作品テーマとしては無問題なのでしょうが後味悪く感じたものです)。

 ラスト、子供たちが旅立ってしまうところに寂寥感が漂い、締めは良かったなと思います。手元に残らない雨がちょっと気になりますが・・・

 励みと言うより、寂寥感をより強く感じます。それによって子供や妻を愛おしく感じるパターンですね。

kita-kitune
ワオンさんのコメント
2012年8月30日

まかまちさん。コメントありがとうございます。

こっから先は個々人の映画観の話になってくるので、ココらへんで一旦打ち止めさせて頂きます。自分から吹っかけておいてすいません。。。ただ一連のやり取りで幾分か勉強になりました。ありがとうございます。

ところで私が何故本作にこれほどまでに執着しているのかというと、やっぱり昨今の日本映画の不甲斐なさに対するフラストレーションが背景にあるんですよね。ゴミみたいな作品ばっかじゃないですか。
本作『おおおかみこどもの雨と雪』はそういった中で、やっと出てきたまともな映画、ていう印象が強いんですよ。だから低評価レビューに食って掛かってしまうんです。「現在の日本映画の不甲斐なさという文脈でみた場合、本作は紛れも無い傑作じゃねえか!!そんなこというなら本作を超える最近の日本映画を言ってみろや!!!!」って思ってしまう。決して褒められた事では無いですがね。

まあそんな所です。
以上いろいろと失礼致しました。

ワオン
とものしんさんのコメント
2012年8月30日

賛否両論はネット上に限った話ではありませんよ。
群体のなかで反対意見が出てしまうのは避けようがないのことと同じです。

でも、そうですね。
実を言うと私は大のセル画アニメーション好きでもあるので、冒頭のCGを使った街を歩く人々や水の流れ、トンボが飛んでいる描写などがまったく気に入らずそこが引っかかりになり過ぎて物語に感情移入出来ず真意を読み取る事が出来なかったのではないかと思っています。

確かに細田監督はそんな事をいっていましたね。震災後に作品とどう向き合うかなどと。
そこを考慮すれば確かにしっかり命に対して向き合った日本アニメーションにしか出来ない作品に仕上がっているのだろうと思います。

しかし、私のコメントの方で申し上げたように、私は作品を鑑賞•評価する上で製作者の意図、前置きは、作品だけをただ見ただけで伝わってこなければいけないと私は思っているのです。
それが鑑賞者に伝わらなければ鑑賞者は違うところに目がいってしまう。
それをどうにか伝わるように作品を仕上げる。それがアニメーション作品に限らず絵画やデザインなどの作品製作の世界全体において非常に難しいことなのです。

真意は伝わらず、違うところに目がいってしまったが結果的にはとても面白く鑑賞できたと言う人もきっといると思います。それで後から製作者の意図を知ってから、あーだからあそこはこうなのか。と納得するパターンなども存在すると思うのです。私もそうゆう作品をなん作品も見てきました。

決して私も無慈悲な人間ではありませんので震災絡みあるいは震災を課題にし向き合った作品に対して非人道的な評価も批評も思いつきもしません。
しかし、震災を課題にしたあるいは震災に対しての向き合ったから良い悪いではないのです。結果(あなたの言う)「東日本大震災後の日本に対して希望的なメッセージ」が作品から読み取れなかった、否私はそうだったということなんです。申し訳ない事にそれが私の評価なのです。

それでも私は細田監督のファンです。真意であろうそれを知った今の私でまた「おおかみこどの雨と雪」是非鑑賞してみたいと思います。

ワオンさんありがとうございました。

とものしん