「救いを求めた人達を鈍器で殴打!」ふがいない僕は空を見た さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
救いを求めた人達を鈍器で殴打!
パラレル・プリンセス・バージョンアップ!
何かに夢中になって現実逃避していた人達が、鈍器で殴られるような衝撃を受けて、現実に戻ってくるお話です。
子供ができないことを姑に責められ、決して守ってくれないマザコン夫に嫌気が差した里美(田畑智子)は、高校生の卓巳(永山絢斗)を誘惑し、自宅でコスプレセックスをしている(あわよくば卓巳の子を妊娠したいと思っている)。田畑さん、脱げる女優さんだったんですね!今後も頑張って欲しいです。
パラレル・プリンセス・バージョンアップ!は、里美がコスプレしている姫の変身呪文です。現実から妄想世界逃げ込む際の、切り換えの言葉です。
けれど妄想世界まで、意地悪な姑はずかずかと踏み込んで来る。
姑にプレイを盗撮され、夫も知ることになります。
離婚して欲しいというと、夫に動画をばらまくと脅される。強引に家を出ると、夫が妙なSNSにその動画を貼り付けて、結果、卓巳の学校まで知られることに。
痴呆症の祖母と二人暮らしの高校生の良太(窪田正孝)は、サラ金まみれの母にバイト代を巻き上げられる。鬱積した感情は、SNSに貼り付けられた卓巳の動画のコピーを近所に配って回ることで発散している。
でもバイト先で、年上男性と知り合う。
勉強を教えてくれ、祖母を父親の病院に無料で入院させてくれた彼は、なんと幼児へのわいせつ罪で逮捕されます。ね、鈍器で殴ってくるでしょう?
二面性!今更ですが、人間の複雑な心理に戦慄すら覚えます。
あの、救いを求めてはいけないのでしょうか?
なんとかかんとか生きていて、ちょっと光が見えたから手を差し伸べた途端に、鈍器!
現実から逃げる人達を、運命は嫌いなのでしょうか。
こうして首根っこひっつかんで、「現実に向き合え」というのでしょうか?
なんだか恐ろしくなりました。
勿論、それぞれに希望が見える終わりかたになっています。
だって生きるしかないもの。
全てを受け入れて、空を見上げて悟る。そんな作品でした。