幸せの行方...のレビュー・感想・評価
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希望に満ちた若夫婦はなぜ闇に落ちてしまったのか?
あまり知られていないけれど、本当に薄気味悪くて面白い。金持ちのぼんぼんが親の反対を押し切って結婚するが、妻が失踪。ぼんぼんが妻を殺害した犯人だと疑われ……と、三面記事のようなスリラーに思えるが、これがほぼ実話の通り。ところがこの実話、もっと奇妙でややこしい。
殺害犯だと疑われた夫も行方不明になり、その後、別の殺人事件の容疑者として逮捕される。ぼんぼんはある中年男性を殺したらしく、しかも、見知らぬ町で女装しながら暮らしていたという--。
あれれ、ちょっと話があっちこっち行き過ぎていませんか? しかし実話ベースなんだからしょうがない。この映画は、まったく理屈が通らない、理解しがたい夫婦のストーリーを、理解などできないままに、素晴らしい演技と美しい映像で綴っていくのである。そもそもが理解不能な話なので、戸惑うのも仕方ない。しかし、人間の弱さ、愚かさ、そして理不尽なことをしでかす心の迷宮が、そのまま提示されていて実に不気味なのです。
そして人間の不条理さを体現したライアン・ゴズリングと、ただただ不運だったというしかない妻をナチュラルに演じたキルステン・ダンストのふたりも本当に素晴らしい。しかもモデルになった男性が撮影現場の見学に来ていたという逸話もあって、これまた薄気味悪さが増すのである。
モデルになった男性は後に自分の犯行を思わぬ形で自供することになるのだが、それは現実の事件であり、この映画とはもはや関係がない。本作が醸すシュールな詩情は、現実がベースだとしても、創作から生まれた別種の賜物だと思っている。
実際の未解決事件を扱った映画
冒頭からいきなりの裁判シーンで、主人公であるデヴィッドが裁かれている。彼が妻ケイティを殺したのか?と、画面に夢中になる・・・もちろん、キルステン・ダンストの初ヌードという評判もあって・・・
デヴィッドの過去には悲惨な事件があった。母親が父との不和により飛び降り自殺を図り、遺体の頭が割れる現場を彼が目撃したのだ。それがトラウマとなり何度も精神鑑定を受けたりする。結婚してすぐにバーモント州に“ALL GOOD THINGS”という健康食品店を出すのだが、軌道に乗らないうちにNYへと引き戻され家業の一部を継ぐことになったのだ。その仕事もごみごみした裏路地の店から集金するというもの。彼の鬱屈した生活が続き、ケイティは湖畔の別荘へと移り、医学部に通いだしたのだ。2人の不仲はその別居が原因だったが、クレジットカードを使おうとしたとき使えなかったことがショックだった。別居や離婚によって使えなくするんだってね・・・富裕層は。
あっという間にケイティは行方不明。しばらくは事件としてほったらかしだったが、18年後の2000年に捜査再開。ケイティが行方をくらます直前にNYで目撃されていたことから、デヴィッドは捜査対象から外れていたようだったが、彼にも捜査の手が伸びる。共通の友人であった小説家デボラがデヴィッドを訪ねようとしたとき、同じアパートを強制退去させられそうなマルバーンという男が彼女を殺す。デヴィッドが金持ちだと知った上で共犯になろうとしたのだが、デヴィッドの冷たい態度に裏切られたと思い、彼をも殺そうとした。が、デヴィッドは反撃して逆にマルバーンを殺害。死体をバラバラにして捨てた・・・というのが彼の供述からわかる真相だ。判決は殺人に関しては無罪。死体遺棄に関してのみ有罪となった。
デビッドの家庭環境と、ケイティの親戚関係の雰囲気がまるで違うという描写。確かに孤独なデヴィッドには受け入れられない要素だった。特にケイティの兄ちゃんが印象的だったが、それが彼をますます鬱にさせたのだろうか。彼がケイティを殺したのではないか?と思わせるエピソードを並べて、世間に訴えるような内容でもあるけど、何がどうだか・・・
ゴズリングの病んだ雰囲気はなかなか良いが、ダンストがイマイチ。おっぱいも垂れていたからなぁ・・・
【2013年視聴】
「実話を基にして・・・」あそこ迄描いて大丈夫なんでしょうか?
不動産業を営む資産家の息子夫婦の愛憎劇。
実話を基にした作品です。サスペンスと言うよりは、「愛憎劇」の言葉がもっとも似合う人間ドラマ、と言う印象です。
冒頭より自然に出会い温かい愛情を深め合う二人が、徐々に壊れて行く様がとても恐ろしく、酷く描かれています。
デビットのトラウマ。デビットの考えに失望と悲しみを感じるケイティ。ケイティの悲しみに過剰に反応してしまうデビット。
サスペンス好きの私としては趣向にそれる作品だったわけですが、それでも観る価値がある人間ドラマでした。
それだけに、終盤転調してドキュメンタリー調になったのが残念でなりません。それまで愛憎劇で暖められた気持ちが、急速に冷まされた気分です。
実話を基にした作品とのことですから、ラストにも限界があったのでしょうが、とても勿体なく感じました。
正に裁判中、その結末は?
トランプ大統領をしのぐほどの大富豪一族の長男ロバート・ダースト。彼の周辺では、妻が失踪し、親友が何者かに射殺され、隣人がバラバラ遺体で発見されるなど不審な事件が相次ぎいだ。もちろん逮捕されたが、金の力で勝ち取った無罪判決。
ところが、自分から希望して実現したドキュメンタリー番組で、ワイヤレスマイクのスイッチが入っていることに気づかず、「一体俺は何をしたんだって?全員殺したんだよ。もちろん」と独り言を言ってしまい逮捕。今年3月から裁判が始まったけど、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断されている。
このドキュメンタリー番組制作のきっかけとなったのが、この映画と言われている。
そんな訳で、いまが旬の作品。裁判のヒントが隠されているかも知れない。
この事件を勉強してから観た方が面白いかもしれない。
ライアン・ゴズリングはいつもチャーミング
個人評価:3.4
実際の事件を描く実話だが、前半と後半の演出や空気感が違いすぎ、またストーリーや伝えたいテーマが全く伝わってこない。
主人公が事件を引き起こしたであろう心理的なバックボーンの描き方が曖昧で、何一つ主人公の気持ちが伝わらず、違和感しかない。
ライアン・ゴズリングは大好きな役者だが、主人公の狂気や闇は伝わらず、いつものチャーミングさがある演技で、この人物にはキャスティングミスと感じる。
実話だからか
実話ベースの作品て、脚色というか捻りが無いので、すごい話なんだけど面白かった試しがない。
この映画もそんな感じでした。
前半のラブストーリーから、後半のサスペンスへのシフトは違和感無かったが、Rゴズリングの変貌ぶり、前半の色男から、後半のまるでオタクの様な変化は、彼の多様な演技のなせる技ではあるが、怖い。
隣人の殺人事件の裁判をバックにして話が進むので、この件に関しては描写がハッキリしていて面白いが、ゴズリングとKダンスト夫妻の話で気になるのが、何故あれ程嫌がっていたダンストがまた戻ったのかが理解できない。堕胎する前に別れるべき。
微妙な評価なのは、脚本の所為かも。
しかしゴズリングは相変わらず鬱屈した役が多い。
不気味なゴズリング
前半の恋愛物語からサスペンスに進む中盤以降でサイコに豹変なR・ゴズリングの特殊メイクで爺さんに女装で精神を病んでいるのか?正常なんだか?
精神を病んだ理由は解るが奥さんに対する態度の豹変に結末は愛憎?殺意のみ?
実話をテーマに興味が湧かず後半以降は退屈で映画の終わり方と現実の事件解決のギャップが!?
タイトル通り幸せがどんどん逃げていく
幸せな状態と掛け離れて行くと行った映画。
1982年に起こった事件を基に作られたノンフィクションものです。
多少製作の主観が入っていてるとは思いますが、おそらくそうなのでしょうと言った感じにまとめられている。最近耳にするサイコパスと言った感じでしょうか?
実際の所はわかりませんがね。
映画としては良く出来ていると思います。
これは個人的な余談なのですが、一度見たことを完全に忘れてビデオレンタルしました(笑)冒頭のシーンで見たことあるわとすぐ思い出しましたが。
恋愛映画だと思ったら違った
恋愛映画かと思っていたら途中から偽装殺人のサスペンス展開となって、人生の苦味を痛烈に描いていたのだが、だからと言ってそれほど面白いわけではなかった。しっかりとした美術で時代劇になっていて、役者さんの演技も素晴らしかったでの、シナリオや物語自体があまり面白くないとこうなってしまうのかと思った。
確かにお母さんが目の前で飛び降り自殺して脳みそが出ているところを7歳で目撃したら、それはさぞつらいことだろうと思うのだが、だからと言って殺人鬼になるとか、超わがままになるとかに帰結させるのはいかがなものかと思った。
実際の事件をモチーフにしているようだった。あの裏帳簿みたいなのがなんだったのか、どれほど致命的な存在だったのか気になった。
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