なま夏のレビュー・感想・評価
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吉田恵輔監督初期作品
監督と脚本は『純喫茶磯辺』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『麦子さんと』『ヒメアノ~ル』『犬猿』
『愛しのアイリーン』『BLUE ブルー』『空白』『神は見返りを求める』『ミッシング』の吉田恵輔
2005年公開の中編作品
初鑑賞
吉田恵輔監督作品だったのね
かなり早い段階で地元のツタヤで見かけ蒼井そら主演の一般作として認知してたけどつまらなそうなので観なかった
『花と蛇』とかそういうジャンルと一緒のコーナーに置いているのが悪い
吉田恵輔クラスなら監督別に置いて欲しいものだ
粗筋
電車通勤途中に女子高生杏子に恋をした独身中年サラリーマン益雄
彼氏と同棲するため家を出る予定の妹にそれはストーカーだと罵られ男なら告れと煽られ決心を固めた兄益雄
盗聴器を内蔵したウサギの縫いぐるみをプレゼントし告白
トイレの個室で杏子と女友達の会話内容を聞いていたら当然のことながらキモいなどと酷評で撃沈し号泣
怒った益雄は電車内で杏子の背中に包丁をつきつけお尻を撫で始める
しかし電車の揺れで刺さってしまい杏子流血
益雄は廃工場で首吊り自殺を図ろうとするもやっぱり死にきれず転落し首になにかしら細いものが刺さってしまい流血
病院でなぜか同部屋になる杏子と益雄
女子高生の杏子役に当時現役AV女優だった蒼井そら
当時23歳くらい
とてもソフトな口淫シーンがあるがヌード全く無し
杏子に恋するサラリーマンの益雄役に三島ゆたか
とにかく三島ゆたかが気持ち悪い
男から見ても気持ち悪いのだから女はなお気持ち悪いだろう
それゆえにその熱演高く評価したい
病室で男女が同室になるってありなの?
一方的に好きになる男
辛辣な女
カーテン越しから純愛展開も・・・
この当時から既に吉田恵輔作品らしさがふんだんに出ている
このエグさがたまらない
最後は妄想でしたオチ?
あれはいらなかったな
減点−星0.5
カーテン越しの恋
僕と彼女を隔てる一枚のカーテン、二人の距離は近いようで遠い。ともすればたやすく乗り越えられそうな一枚の布切れが僕にとっては鉄のカーテンのように強固なものに思われた。
彼女はストーカーされた挙句にその相手に刺されてしまった。見舞いに来る彼氏は彼女の身を案じるどころか性的対象としか見ていない。彼女はすっかり落ち込んでしまっていた。そんな彼女を僕は励ましたかった。あの手この手で僕は彼女を楽しませようとした。僕は彼女の笑顔が好きだった。
通勤で同じ電車に乗り合わせる彼女を一目見た瞬間、僕の鼓動は高鳴った。彼女の透き通るような白い肌、湿り気を帯びた分厚い唇、白いブラウスに覆われたはちきれんばかりの身体。僕は一瞬で彼女の虜となった。僕は彼女に恋していた。
これはきっとプラトニックな思い。彼女へのその思いを抑えられず僕は彼女のポートレートを撮影しまくり壁は一面彼女の写真で埋まった。それでも僕の一途な思いはとどまることを知らず、体は熱くなる一方だ。だから体にたまったこの熱を定期的に放出しなければならなかった。
僕は勇気を振り絞り彼女に思いをぶつけることにした。この僕の純粋な思いを彼女ならわかってくれるはず。しかしプレゼントのぬいぐるみに仕込んだ盗聴器から聞こえる彼女の声は僕を失望させた。ショックで僕は自死を選んだけど死にきれず運ばれたのが彼女のとなりのベッドだった。
僕らはカーテン越しにお互いの見舞い品を交換し合ったりした。彼女は僕の天狗のお面を気に入ってくれた。お互い顔が見えないながらもそんな僕たちの微笑ましい関係は続いた。
退院間近の彼女が言った。退院したら外で会いましょうと。僕はどぎまぎした。彼女は僕に好意を抱いている。でもそれはあくまでもカーテン越しに関係を築いた相手に対してだ。もし僕の素顔を見れば失望するに違いない。それに僕こそが彼女を襲ったストーカーだった。
僕は彼女の前から姿を消す決心をした。それが彼女にとって一番いいことなんだと思えた。その時隣のカーテンの向こうから何やら聞こえてきた。別れたと思っていた彼女の彼氏が戻ってきていたのだ。二人は秘め事を始めている。その声を聴いて僕の心はかきむしられた。深い悲しみと絶望感に襲われた、と同時に僕の体が熱くなるのを感じた。僕は秘め事の音を聞きながらたまらなくなって熱を放出した、そして熱い涙が頬をつたった。
僕は彼女を純粋に愛していたのだろーか、それとも単にAV女優のように性的対象として魅了されていただけなのだろーか。僕のプラトニックな思いと獣欲が僕の中で戦いを続けていた。
気が付くと僕は二人の前に仁王立ちしていた。僕を見つめる彼女の瞳が恐怖をたたえていたのをいまでも覚えている。
次の瞬間、僕は絞首刑台に立っていた。二人殺したのだから死刑は免れなかった。僕の体は宙に投げ出され、そしてあたりは光を失い静寂に包まれた。
自らの獣欲に負け嫉妬に狂い凶行に走ってしまった哀れな男の恋物語。入院中のベッドでタブレットにて鑑賞。当然カーテン越しのとなりのベッドは僕と同じおっさんでした。
【”こんなストーカーおぢさんには、なりたくない!”エロティック&ホラー&コメディ映画。列車内痴漢撲滅キャンペーン映画にはならないな・・。イロイロとビックリした作品でもある。】
■ 𠮷田恵介監督作品は、2010年以降は全て鑑賞しているが、若い頃はこんな作品を制作していた事にビックリ。
尚且つ、今作がゆうばり国際映画祭で、ある部門でグランプリを受賞した事にもビックリ。
更に言えば、ストーカーおぢさんを演じた三島ゆたかさんの映画出演作の多さにもビックリ。
(𠮷田恵介監督作には、ほぼ出演しているが、全然記憶が無い事にもビックリ。端役なんだね、基本。)
前半は、同性としてはイキナリの自慰行為シーンや列車内の痴漢シーンや不快なシーンが多く、げんなりするが、後半ひょんなことからおぢさんと、ストーカーされていた女子高生(蒼井そら)が、カーテンを隔てて隣同士の病床になったところの展開はやや良いが・・。
<今作を観ると、𠮷田恵介監督の作品の振れ幅の大きさを再認識する。
「ヒメアノール」や「犬猿」に近いトーンのショットも幾つかあったしね。
久しぶりの2.5であるが、三島ゆたかさんのような端役専門の(すいません・・)が、邦画を支えているんだろうなあ、とイロイロ調べて思った作品。
𠮷田恵介監督、たまには準主演でご登場頂いたら、どうでしょう・・。ヒットしないよなあ‥。
(重ねてすいません・・)
一番ビックリしたのは、レビューが私を含めて2件だけ。
しかも、お世話になっている方がレビューされていたことかな!!
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