劇場公開日 2012年2月25日

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「哲学の撃鉄」英雄の証明(2011) DWK9さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0哲学の撃鉄

2020年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

現代戦のリアリティ皆無、セリフの冗長。
「なんちゅう詰まらん映画だ」と思ったが、観終わって間もなく考え直した。
これは斬新な映像表現のレトリックかもしれない。

怒り、慈しみ、憤り、悲しみといった人間たちの感情が際立っている気がしなくもない。
古代を乱暴に現代へ当てはめるという制作過程が、結果的にあらゆる表現を記号化しているからだ。
目指したのは、戦争ひいては人社会のデフォルメというべきか。

ゆえに「役者の演技や舞台セットなどは最低ラインを超えていれば良い」という意図まで透けて見える。
場合によっては、製作者はシェイクスピアである必要性は無いとまで考えてるかもしれない。
演技もカメラの構図も音楽も、最低ラインさえ超えていればそれで良いや、と。

奇妙さが、物事への思考を巡らすきっかけとなる。
気づけば「戦闘とは、いやいや戦争とは、そもそも人とは……」と考えていた。

劇的すぎる。
その違和感が思考の雷管を叩き、不知の知に至る。

この、映画を娯楽と思ってないかもしれない監督の頭脳は、
曇りがかった頭脳の持ち主である私には計り知れない。

DWK9