劇場公開日 2012年2月25日

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「シェークスピア」英雄の証明(2011) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0シェークスピア

2018年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 あらすじだけ読むと、まるで古代ローマ時代の映画かと思ってしまうが、現代に置き換えて作られた作品だ。

 冒頭では食糧不足などで暴動が起きるほど内部事情の悪い大国ローマがニュース報道によって描かれている。斬新だ・・・とも思ってみたが、ヴォルサイとの現代的戦闘シーンの後、オーフィディアス(バトラー)と直接対決となるマーシアス(ファインズ)はいきなり銃を捨て、ナイフだけでの対決。なんなんだ、この展開?銃撃戦のクライマックスをカンフーで戦う展開と一緒じゃないか(笑)。

 まぁ、その不自然な点は置いといて、最初の見せ場である、執政官へと推挙された直後の民衆の変わり身の速さには驚いてしまう。民衆を見下したような目と台詞、積もり積もっていた人々だったが、マーシアスを憎んでいた議員たちが一言煽ると次々と同調していく様子。政治家の傲慢さもさることながら、民衆も流されやすいことがわかる。最初は死刑を宣告されたが、友人でもあるメニーニアス議員(ブライアン・コックス)や母親(レッドグルーヴ)の忠告によって穏やかに対処し、追放という罪に収まった。そこからは放浪の旅。スキンヘッドだったマーシアスが長髪になるまでの期間歩き続け、敵国であるヴォルサイにたどり着き、ライバルのオーフィディアスに会う。そして、ローマ国に復讐のためヴォルサイの仲間になったのだ。誰もが恐れおののく軍人が敵国に下った。やがて彼らはローマに侵攻する・・・

 人間の心までも失った生粋の軍人マーシアスは元戦友の説得もメニーニアスの説得も受けない。おかげでメニーニアスは自殺。そして母親、妻(ジェシカ・チャスティン)、息子がローマを炎で焼き尽くさないでと説得に来て、心を動かされた。ついに和平交渉により講和条約を結ぶが、ヴォルサイでの権力者となってしまった彼はオーフィディアスによって処刑される・・・

 やはり現代劇では不自然さが目についてしまい、戦争の迫力は足りない。また、腐敗した政治家や、民衆の苦しみというサブテーマもどこかへ行ってしまい、普通の悲劇となってしまっている(シェークスピア劇なんだからしょうがないけど)。だからこんな変な邦題がつけられてしまったのか・・・

kossy