劇場公開日 2012年4月7日

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「家族の問題を主題にしながら、サスペンスフルに仕上がったイラン映画」別離(2011) 梅薫庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5家族の問題を主題にしながら、サスペンスフルに仕上がったイラン映画

2012年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

オープニングからエンディングまで、ひとときも息が抜けない映画。

二組の夫婦、四人の男女がそれぞれ嘘をつき、隠さなければならない真実をもっている。しかも、イスラム教の戒律が、絶対である環境を持つイランという国が背景にあることが、家族を主題にした映画にもかかわらず、全編を通してサスペンスを盛り上げている。

ただし「イランだから」ということで、この物語自体が特殊なものでもなく、そこで語られるのは、夫婦や家族、信仰や価値観の問題を含めて、東西を問わず、何処の国でも、何処の家族のあいだでもおこりえることでは、ある。

結局、物語はどちらの夫婦にとっても、日本で云うところの「子は鎹」という結論に落ち着きそうになるのだが、それを映画では、あくまでも観客の想像力に委ねているところが、にくい。おそらくこういったエンディングは、日本も含めた欧米西側の、映画では、考えにくいところ。その点で、アッと驚くラスト、といえなくもない。

梅薫庵