劇場公開日 2012年7月14日

ぱいかじ南海作戦 : インタビュー

2012年7月13日更新

阿部サダヲ&貫地谷しほり、共通点は揺るぎない“熱き魂”

7月14日公開の「ぱいかじ南海作戦」で、2008年の「パコと魔法の絵本」以来となる再共演を果たした阿部サダヲと貫地谷しほり。かたや独特の存在感を誇る個性派、かたや今年だけで映画、舞台、ドラマと合わせて10本近くの出演作を抱える若手実力派。日本のエンタテインメント業界に欠かせない存在となった2人が、東京から飛行機を乗り継いでたどりついた南国・西表島での撮影の日々をふり返った。(取材・文・写真/黒豆直樹)

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椎名誠の同名小説を映画化した本作。離婚&失業というダブルパンチを食らい、あてもなく南の島を訪れた中年男の奇妙なサバイバル生活を描く。

アドリブに定評のある2人。貫地谷は「阿部さんは毎回、やることが違う。テストで慣れたと思っていたのに、本番で我慢できずに笑っちゃいました」と明かす。自らは関西弁というハンディを背負っていたが、それでも阿部いわく「関西弁で返すのが難しいなかで、語尾に『どやっ!』って3回くらい重ねてきたりした(笑)」という。瞬発力を生かした掛け合いを2人で作り上げていったようだ。

映画では、浜辺で生活する佐々木(阿部)の元に最初に永山絢斗演じるオッコチ、続いて貫地谷と佐々木希扮するアパとキミが加わり共同生活を送ることに。男ばかりの現場に女優2人が到着したときの様子について、阿部は「遠くに2人が見えたとき、『ああ、やっと女子が来た』と思いましたよ」と語るが、実は佐々木が以前から阿部の大ファンだったことが発覚。「のぞみちゃん(佐々木)が阿部さんに『好きです』って言ったときの、阿部さんの顔が忘れられない。何かをかみしめていましたね(笑)。4人のシーンをよく見ると、阿部さんはのぞみちゃんの方を全く見ていないんですよ。『おいおい、おっちゃん!』って感じでした(笑)」(貫地谷)。

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冒頭、道の果てに立てられた“終点”という看板を前に、阿部が「終わりの先に意外と道がある」と語るが、これこそが本作のテーマ。阿部にとっては、自らの人生と大いに重なるところがあった様子。「僕自身、20歳を超えても何になっていいか分からず、就職したけどすぐにクビになった。そのときは壁を感じましたね。そこで全く自分が知らない世界に飛び込んでみようって思って俳優になったんです。本当にたまたま。『行っちゃえ!』っていうパワーがあったんですね。そこで佐々木と同じように素っ裸になって(笑)、自分をさらけ出せたのがよかった」と述懐する。

貫地谷は、阿部の話に同調し、続ける。「私はこの世界に入ってずっとオーディションで落ち続けたんです。次ダメだったらもうやめようって思っていたときに最後まで残って、そのとき『絶対やりたい』って気持ちがわいてきた。意地ですね。私が感じた壁なんて、いま思うとたいしたことなかった。『やりたい』と思って続けることがすごく尊いことなんだなって思います」。

タイプは違えど、ともに熱い魂を持つ2人のハイテンションな掛け合いを楽しんでほしい。

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