「これぞ正に娯楽映画の決定版!きっと心も踊り出すよ!」アーティスト Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ正に娯楽映画の決定版!きっと心も踊り出すよ!
今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演男優書を受賞した本作品は、観てみると心から納得の受賞作品だと言う事が解る!!
それにしても、「ヘルプ」も「ビギナーズ」「サッチャー」もとっても好きな作品で、作品の内容も、俳優も今年の受賞作品と私の相性はとっても抜群に良くて本当に嬉しいし、珍しい大当たり年だ!!その中でも最も好きになったのが勿論この「アーティスト」!
何でフランス映画が外国映画賞でなくて、作品賞なのかは、理解できない所であるが、このサイレント映画が英語で字幕が作られているから、外国語映画賞の部類に入らないだけなのだろうか?
それはさて置き、今さらサイレント映画の時代でもないかも知れないが、今改めてサイレントムービーを観てみると単に返って新鮮と言うばかりでは無く、セリフが聞こえない分観ていて想像力が働いて、その分より劇中の登場人物に対して感情移入がスムーズに出来る事が、より映画を楽しくさせていたのだ!
そんな事言って、ジョージに感情移入し過ぎて、何故そこまで、同情したのか、理由も自分でも定かでは無いのだけれども、殆んど泣きっぱなしだったのです!映画が終わって明るくなると涙目で恥ずかしいので、トイレに急行して、トイレで、また映画のシーンを思い出したら、嗚咽が止まらない程に号泣してしまったのだ!
映画が好きで好きで、どうする事も出来ないジョージの気持ちが完全に私の胸を打ち抜いてしまったのだ!
かつての大スターが無名の新人を育てるとあっと言う間に、新人と自分の立場が逆転してしまい、自分の存在はファンからも忘れ去られ、過去の人間になってしまうと言うお話は「スター誕生」と言うタイトルで確か3回程はリメイクされている馴染みの話だ。
B・ストライザントが出演した時のテーマソング「エヴァ・グリーン」は今でも良く耳にするヒット曲だ。そのためストーリーはごく平凡で、単純な話なのだが、しかし、映画フリークの人々には、映画製作にハリウッドが燃えていた時代を再現していると言う事が心地良く感じるのだろうし、この映画凄く、音の効果を良く計算して制作されている。サイレント映画なのに、音を計算して効果的に使っていると言う表現は可笑しいのかも知れないが劇中劇の音楽演奏だけで無く、ジョージの心理状態を巧く表現するその方法として、効果音を上手く挿入しているのだ!これこそが映画の基本だ。
作品の中でペピーは、サイレントのスターは芝居が大袈裟と言うけれど、中々どうしてどうして味があって今日私達が観ると本当に楽しめるのです。
この映画のリピターは、2回目は千円で観られますと言うキャッチコピーの宣伝キャンペーンもこれも中々良いではないか!そんなに直ぐに何度も同じ映画など観る筈も無いだろうと、はじめは私も思っていたのだが観終わるとまた観てみたくなるから不思議だ!これこそ現代に蘇った真のエンターテイメント決定版だ!!
ここまでベタホメしたら、貴方はきっとダンスを踊らせるなら、ジーン・ケリーや、フレッド・アステアとは比べられない程の、下手くそなのだから何て野暮な事は言いっこ無しで、どうかこの世界観を充分に楽しんで欲しい!それは正に、ウイットタップリのC・チャップリンの踊りを楽しむつもりになって、出来る事ならまたこの映画を2度3度と観て欲しいし、その後は、本当のサイレント映画も、機会が有ったら観て欲しいものだ!
サイレント映画は、弁士によっても、同じ映画を観ても弁士が代わるとまた違う映画を観ている様な味わいのある不思議空間でもある。尺も短めで、これ位の映画は観客の集中力も程良い時間で負担もかからないし、忙しい今の時代にこそ、こう言った映画は新しい娯楽映画として充分に観賞可能な作品なのだと思う。
J・グッドマンや、J・クロムウェルなど、脇を飾る役者もとても良い!のだ。
シンプルではあるけれど、観客の鑑賞のツボを抑えた本作は絶品で有ると思う!
是非ともこの楽しさを味わって欲しい!