「作風ごとタイムスリップ」アーティスト odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
作風ごとタイムスリップ
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サイレント映画はアメリカより先にフランスで作られ Art Muet (無声芸術)と称されていた。主人公は冒険ヒーローものの大スターでとてもアーティストとは思えないのだが・・。若い娘にちやほや、奥さんには冷ややか、プライドだけは無駄に高く、あまり感情移入できる人柄ではないのだがクラークゲーブル風の古典的二枚目ぶりに妙な愛嬌があり許せてしまうから不思議だ、愛犬や運転手の献身ぶりを入れたのもうまい味付けだと思う。
時代の波に乗れず凋落してゆく大スターの悲劇を扱ったものは多いし、名作「雨に唄えば」での悪声ゆえにスターの座を追われるトーキー幕開け時代のエピソードも思い起こされる、あんなにトーキーを拒む主人公は吃音だったのではないかとも思ったが最後で唯一のセリフ「My pleasure(喜んで)」がきれいだったので思い過ごしと分かった。
映画史へのオマージュ満載、モノクロ・サイレントへの挑戦が先だとは思うが今風の撮り方では成立しづらい話を考えて丸ごとタイムスリップさせたのは面白いアイデアですね。
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