劇場公開日 2012年10月26日

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「途切れぬ緊迫感。アルゴ撮影隊の大脱出!」アルゴ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5途切れぬ緊迫感。アルゴ撮影隊の大脱出!

2012年10月28日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

1980年、革命に巻き込まれたイランの米大使館員達を国外脱出させる為、
CIAが彼らを偽SF映画の撮影隊にでっち上げたという実話を映画化。

この劇中に登場する偽映画『アルゴ』、偽チューバッカやら偽C-3POが登場する
安い『スターウォーズ』みたいな映画なのだが(笑)、
それはあくまで偽映画の話。本作自体は文句ナシに面白い!

スゴいね、ここまでスリルとサスペンスが持続する映画は久々でした。
派手な見せ場はほぼ皆無なのに、中弛みは一切無し。
冒頭の大使館襲撃シーンから終盤まで
ピンと張り詰めた空気を維持し続けた手腕は見事。

一番怖いのは、現地の人間が何を考えているか、いつ爆発するか全く予測できない所。
自分は正義だと信じる人間が集団になった時の暴力性といったら無い。
刺すような視線、街中の首吊り死体、群集の中を車で進むシーンの恐ろしさ。
相手が現地語を理解できようができまいが関係なしに、
一方的に自分の主張を押し付けてくるのも恐怖だ。
おまけに『アルゴ』作戦を疑問視するCIA内部の人間によって、脱出はますます困難な状況に……。

クライマックスはそれら幾つもの危機的状況が秒刻みで襲い来る。
観ているこちらの呼吸まで浅くなるほどの、凄まじい緊張感!!
主人公の上司や、作戦に最も懐疑的だった大使館員が奮闘するシーンは感動モノだった。

実際にあそこまで危機一髪の状況だったのかはかな〜り疑問だが、
サスペンス映画としては大正解なので無問題ッ!(笑)

にしても皮肉なのは、
敵も味方も皆、メディアに踊らされて右往左往してる点。
事の発端は米英がイランを支配する為に擁立した傀儡政権のトップが強権的な男で、
更には急速に欧米化を進める姿勢がムスリムの反感を買った為だった。
米英にしてみれば、人心を掌握できる体(てい)の良い偶像を仕立て損ねた形。
また、大使館を占拠したイランの過激派はメディアを
利用して自分達の正義を主張し、要求を通そうとする。
そして主人公らも、映画やマスコミをフル活用して大使館員を救おうとする。

メディアというものがどれほどの影響力を持ち、そしてそれが現実でどれほど利用されているか……。
考えてみると恐ろしい。TVや新聞に一度載ってしまえば、
それがどんな大法螺でも、何だって事実に見えてしまうのだから。

以上!
緊迫感溢れるサスペンスが観たいという方にオススメですよ。

<2012/10/27鑑賞>

浮遊きびなご
りりーさんのコメント
2012年11月2日

こんにちは。

この作品、とても良かったですね!

さすが、ハリウッド!
ハラハラドキドキ、心臓バクバクで、楽しめました。
途中、余計なことを考える暇もなく、一気にクライマックスへ突入でした。
一番のお手柄は、現地人のお手伝いさんかしら。
満足のいく作品となりました。

ベンは、とても才能豊かな人ですね。

本年は、「麒麟の翼」「ドライブ」「テルマエロマエ」「アルゴ」など、良質な作品が多くで嬉しいです。
あと2カ月、まだまだ面白そうな映画がありそうですね。
楽しみです。

りりー