「たった5日間でも、人生を変えるにはじゅうぶんの時間」とらわれて夏 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
たった5日間でも、人生を変えるにはじゅうぶんの時間
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たった5日間のフランクの脱獄劇は、はらはらしながらも予定調和の結末。
囚われた母子が犯人に寄り添ってしまう「アムステルダム症候群」的な映画で、妻夫木主演の『悪人』を僕は思い出していた。
ボディコンタクトが露骨すぎるとか、なんで隣人に見つからないのかとか、ちょっと都合のいいストーリーだなあと観ていたが、終盤、5日間が終わったあとからの3人の生き方に感銘を受けた。
アデルはもちろん、息子のヘンリーの人生をも大きく変えた、フランクという人間の大きさにしびれた。
たった5日間に育んだ信頼が、28年たっても薄れない。3人とも。フランクの28年、アデルの28年、ヘンリーの28年。それは空白の失われた時間などではなく、再会のための熟成期だった。なんと深い愛だろう。
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