「時間(命でありお金でもある)を搾取する者たちへの・・・反発なのか?」TIME タイム 林檎さんの映画レビュー(感想・評価)
時間(命でありお金でもある)を搾取する者たちへの・・・反発なのか?
脚本的にラストもっとヒューマンドラマ的なものを期待していたけど、ただの泥棒スパイになってしまった。
なぜ主人公・ウィルが反体制になったのか?動機が弱い。母の死がそのきっかけだとは思うのだけど、んー、ちょっとなあ、まだ弱い気がする。また時間を相続することになった人助けも、なぜわざわざ危ない橋を渡って助けることになったのか、もちょっと説明不足で弱い気がした。まぁその前に少女にねだられて時間を与えるお人好しであることをシーンとして描かれてるのだけども、まぁなんとも納得感が薄い。
設定はとても面白く時間が命であり通貨となった世界を描いている。人も25歳で年齢がストップする。その設定の見せ方、時間が無くなると死ぬ様、時間を通貨として物を買う、人々の時間との関わり方、その説明がスムーズでとても良かった。
好きなのは時間監視員の男・レオンだ。この男の正義を貫く心意気に惚れます。その正義がねじ曲がっていようが体制派の犬であろうが、自分が信じる正義に忠実なところに惹かれます。ただ最後の死に方はちょっとなぁ。ただ、あ、忘れてた、みたいな時間切れで、それもどうかと。追い詰めた二人とのやり取りの中で色々な想いを巡らせて死んでいって欲しかったな。
ウィルの母との別れはラストへの伏線となるのだけど、だからこそ、ラストはまぁ助かるよねっていうどこか要らない安心感があってハラハラ見れなかったのが残念でした。
一番好きなシーンはパーティーに呼ばれたウィルとシルビアが海で泳ぐシーン、腕の時計の光の演出も効いていて真っ暗な水中に光るネオン、浮かびあがる二人のシルエットがとても綺麗で良かった。キスして欲しかったけどしなかったですのも寂しかった。でもここでしても良かったと思うんだけど、二人の出会いが劇的になるし、その後逃亡してから少し仲違い?みたいな感じになる時の落差もできるし。うーんここは意見別れそうです。後でスラムでキスするシーンがあるけど、そこまでいってようやく心が通じあったのか?いや違うでしょ。シルビアは最初からウィルの事が気になっていたはず。あーやっぱり海でのキスシーンが見たかったな。