最強のふたりのレビュー・感想・評価
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硬くなった心のストレッチ
冒頭から引き込まれてしまいました。こいつら、なに?何をするつもりなの? …まあ、おいおい分かってくるわけですが。
人生の痛みと癒しのバランスが良く、愉快な場面ではあれこれ考えず笑えた、いい映画でした。
ちょっと硬くなっていた心の、気持ち良いストレッチになったみたいです。
重い障がいを持つフィリップと、介護人として雇われた前科者ドリスとの交流を軽快に、温かい目線で見せてくれました。
ドリスの無神経な物言い、それが普通の環境の中で居所もなく生きてきたのでしょう。互いに問題を抱えている二人の、一緒の時に生まれる親密で誠実な空気がなんともいえません。
屋敷のスタッフ達も、多くの応募者の中から選ばれたバリアフリーな心を持った人達なんだろうな、異世界からやって来たみたいなドリスとの掛け合いもそれぞれに楽しかったです。
皆が君を必要としている!
スラム街育ちの黒人青年と首から下が麻痺している富豪の絆。
何なのだろう、特別目新しい題材でもないのに、特別に感じてしまうこの魅力は?
それはきっとオマール・シーが演じたドリスにあるのだろう。
複雑な家庭環境、荒れた生活、無学で無職。
失業保険欲しさに就職活動した富豪の介護の面接に採用。
ドリスの介護は見てて危なかっしいが(笑)、頑なだった富豪フィリップの心をほぐしていく。
臭い言葉だが、それは“心”だったのではないか。
障害者と対すると、必要以上に気を遣う。中には偽善もあるだろう。
そういうのって何より鬱陶しく、嫌なものだろう。
ドリスはそれらをまるでビートたけしのようなキツいジョークで笑い飛ばす。
フィリップを“障害者”としてではなく、“人”として対等に接する。
壁を作らないドリスに、我々は劇中のフィリップ同様、魅了されてしまうのだ。
終盤、ドリスはフィリップの元を去る。
修復し難い仲になったわけでもなく、仕事放棄したわけでもない。
ドリスの家族にはドリスが必要だったからだ。
そしてフィリップもまたドリスを必要としていた。
不必要な人間なんて居ない。
皆が、あの人懐っこい性格と屈託のない笑顔を必要としているのだ!
並みに良かった
彩る、「壁」
本作が劇場映画デビュー作となるエリック・トレダノ監督が、パリに住む市井の人間を軽やかに描く力作「PARIS」にも出演したフランソワ・クリュゼ、「ミックマック」のオマール・シーを主演に迎えて描く、人間ドラマ。
異なる境遇、価値観をもった2人の人間が、衝突し合い、笑い合い、互いを認め合っていく。世界各国、この極めてシンプル、かつ難しいテーマを扱った映画は数多い。優等生と、不良。金持ちと、貧乏人。男と、女。大きく捉えてしまえば、全ての物語の根底を支えている巨大な柱といって過言ではない。
ただ、この「柱」。多くの観客が「う~ん、ちょっと苦手かも」というキャラクターが、奇抜な価値観を振りかざして輝く相対するキャラクターに引っ張られ過ぎると、映画作品の軸となる「雰囲気」なり、「スタンダード」さえもが見事に崩れ去る事もしばしば。「いつの間に、脚本家が変わったのですか?」と作り手にフリーダイヤルで抗議したくなるほど、世界が暴力的にひっくり返る危険も孕んでいる。
だから、怖い。だから、面白い。
さて、本作はどうだろうか。事故で下半身不随になり、人生を持て余している大富豪の家に、刑務所帰りの破天荒な青年がひょんな事から入り込む。知らない世界、むくむく膨れ上がる好奇心。富豪の人生が少しずつ、熱を取り戻す。
単純にあらすじを追えば、数多の「柱崩壊」ドラマとの差異を推し量るのは難しい。だが、この二人の間には友情という糸と並び、透明な「壁」が立ちふさがっている。この一点に、本作の魅力が詰まっている。
聞いたことのない音楽。吸ったことのないタバコ。青年が差し出す「未体験」に、富豪は惹かれていく。と、同時に、「自分は、自分」という厳格なアイデンティティーは決して崩すことなく、青年との間に築いている。
叱るべきは叱り、楽しむべきは楽しむ。認め合うべきは、認め合う。富豪側に、人間として確固とした性格の基礎があるからこそ、青年も安心して彼を自分のテリトリーに引っ張り込める。その安心感と、本当の意味での信頼感が物語の肝であり、観客の高い満足度の根幹を支えている。
破天荒なだけじゃあ、見苦しい。硬いだけじゃあ、肩がこる。的確なバランスで紡がれる2人の人間の心の再生が、透明な「壁」を鮮やかに彩っていく。
きっと本作の作り手は、たくさんの人間とぶつかり、戦い、認め合ってきた素敵な経験をもつのだろう。だからこそ、「変わる」「変える」群像劇をこれだけ情感たっぷりに描けるのだろう。単純に「強引に、相手を塗り替える」心の交流に満足する映画の作り手に、笑顔で捧げてあげたい作品だ。
爽快感が突き抜ける下現代社会の盲点
多様性を認めるって素晴らしいことだ!
君がいて僕がいる
思ってたより笑えない
自然な演技が良い。
かなり前から楽しみにしていた作品の一つでした。
ナイトシアターで観ましたが、ほぼ満席状態でした。
半身不随の大富豪のフィリップと貧しい青年ドリスが出会って。。。
といったストーリー。
感想としては「まぁまぁ面白い」フィリップが病気なことを忘れて
普通に接するドリスとのやり取りは思わず笑ってしまいます。
またフランス語なので注意深く集中して鑑賞できたのも
個人的には良かったかも。
ただタイトルも「最強のふたり」と大げさな割には、
物語の盛り上がりも特になく、ごくごく平凡な感じでした。
話がぶつ切り状態に感じることも多く、
ちょっとハードルを上げてしまっているかな?という気がします。
ともあれその平凡が個人的にはとても好きだったりはしました。
それも彼らの演技がとても自然で素晴らしかったと言う事に他なりません。
のんびり楽しく観れる映画だと思います。
今年最高! マセラティがまたいい!!
素晴らしい演技
この映画は障害者と介護という重くなりがちなテーマだが、随所に見られたユーモアある台詞と素晴らしい役者の演技で、暖かさのあるヒューマンドラマに見事仕上げていた。
ドリスはフィリップに対し同情したりするのではなく対等に接し、フィリップもドリスに対し経歴等は気にしない。
この映画は障害者介護の問題ではなく、友達との青春ストーリーにも思えるのが良いところ。
早朝のパリをふたりが歩くシーンが一番好き。
ふたりの掛け合い、景色、早朝の街が作り出す雰囲気。
全ての要素が集まって出来る自然なシーン。
彼らの関係はお互いがお互いを尊重しているから出来る事で、誰にでも出来る事。だけど難しい。
ドリス役のオマール・シーは勿論のこと、フィリップ役のフランソワ・クリュゼの演技は素晴らしかった。
役柄上、顔の表情だけで演技しなければならなかったが、喜怒哀楽をきっちり演じきっていた。
劇場で観るべき作品のひとつ。
短い!
エンドロールがはじまった時、「え?もう終わりなの?」と思ってしまったほど、中身の濃い作品でした。
実話系にありがちな中だるみ的部分もなく、最初から最後まで文句なしです。
2時間の映画ですが、4時間だって見たい。
お金持ちの障害者フィリップと、貧乏な介護人ドリスという本作。
暗くなりがちな話なのに、底抜けに明るい。
無理に泣かせようというシーンがなく、笑いも寒くなく、よく考えると深い。
初対面時からフィリップと対等な物言いをするドリス。
途中、フィリップがドリスに感化されていく流れは「いいのか?」と思ってしまったりもするが、ドリスの方も影響を受け、お互いがお互いを”一人の人間”として接する。
是非多くの人と感動を分かち合いたいと思える本作ですが、フランス映画でメジャー系の国内配給ではなく、上映館数が少ないのが非常に残念です。
最高でした。
人は皆、希望に向かって生きようと日々より良い選択を考えている
まずファーストシーンの入り方がとても観客の好奇心を誘う作り方だと私は思って期待で、ワクワクドキドキした!「一体この二人は、この先どう関わりを持って行くのだろうか?」と心を掴むのが思わず巧い!!と叫びたくなる導入部から始まりカメラワークのセンスの良さで物語へとすんなり入り込んでしまった。
日頃フランス映画をあまり観ていない私は、このフィリップを演じるフランソワの事も、ドリス役のオマールの事も記憶の中に残っていないと言う事でも、すんなりと何の抵抗も無く、自然に物語の中へと引き込まれて観る事が出来た大きな要因で良かったのだ。
闘病+新しい友情=新たな希望というパターンの映画で、直ぐに思い出されるのが、J・ニコルソンとM・フリーマンの「最高の人生の見つけ方」を思い出したのだが、あの映画の場合は主演の二人の過去の作品の数々が重なり中々素直に物語に入れずに観た記憶があったのだが、そんな意味でも、本作は新鮮に観る事が出来たのは嬉しかった。
その一方で、私の個人的な事なのだが、私の職業は障害者の介護をしている関係で、フィリップとドリスの間に芽生える信頼関係と言うか、友情とは初めのきっかけは仕事を軸にして出来た関係ではあるけれども、その関係はやがて仕事を超越した人と人との繋がりへと発展して行き、二人を結び付ける間柄が二人の生い立ちの違いなどの総てを超越して、家族の物語を観ている様な錯覚すら覚える、その素晴らしい関係が描がかれている事が、誠に気持ち良く、そしてまた羨ましくも思えたのだった!
チョコレートボールをドリスは食べながら、「健常者用のお菓子」とブラックジョークを飛ばしながら、フィリップの口へ中々チョコを入れてあげようとしない所など、本当にハラハラドキドキしてしまった!
私も仕事の現場でクライアントに対して、日頃から身体障害者に対する自分の気持ちは自分では特別な憐れみも同情も差別も持っていないつもりではいるのだが、果たして相手は自分の事をどの様に見ていてくれているのか正直気になる事件に最近遭遇したのだ。
数年来、介護を通して付き合っていると家族にも理解されないと言う悩みを相談される事も決して少なく無いのだが、その話しを聞いていると、身体が一部分は本人の思う様にならず他人の世話を必要とする事が有るのだが、決して人間的な価値や能力が劣ると言う事など全く無く、喜怒哀楽の気持ちも誰とも変わらないのだとしみじみ思うのだ。それ故、最近クライアントから、相談を受けた私は、こちらも相談を受けた時は、個人として相手の立場にとり最善と思われる事を話したのだが、私の意見に対してクライアントは直接反論はせずにブログの中で、「今日ヘルパーの一言に傷ついた」と書き込みをされたのだ。この時は本当にこの仕事の難しさを感じた。普通は相手の意見をどんな事があっても否定せずに、只只肯定する事が介護の基本なのだが、下手な同情や気休めを言っても相手が余計に先々傷つくと考えた私は、仕事の顔を離れて個人的な気持ちで話したが理解されなかった。この映画は実話を基に制作されていると言うだけに、そこに描かれているエピソードの数々は、真実の持つ力強さが有ったと思う。只それだから余計に冷静には観られずに自分と重ね合わせて観てしまった作品だが、秀作で有る事は言うまでも無い事実だ!
『良い映画』
人生が素晴らしいんじゃない。ふたりの関係性が素晴らしいんだ。
自分、この手の映画って観賞前はちょっと身構えちゃうタイプです。
つか、評判聞かなきゃまず観ませんね。
だってねぇ。どうしたってねぇ。テーマ的に重くなりがちでしょ?
「車椅子の男性と介護人の友情」てトコからしてもう。
苦悩と絶望を滲ませながら物語は最後熱い涙を誘う、みたいな。それか真逆で本当絶望のうちに終わっちゃう、みたいな。
ま自分的最大公約数な考え方ですが。
んで、この『最強のふたり』ですね。
スラム育ちの介護人ドリスと、元健常者で車椅子の大富豪フィリップが主役という。
この映画は一体どうなのか?って話ですが。
いやぁ~、こりゃ全く裏をかかれました!
イイ!凄くイイです!
何がイイって全く泣かせないのがイイんだな!
『お涙頂戴』じゃないんだもの!
ずっと笑いっぱなし!
介護人ドリス君がもう最高!飽くまで健常者視点でありながら障害者に対して一切の色眼鏡持たないし一切の憐れみを見せない!そんな感覚すら持ち合わせてない!
フィリップが「そのチョコ私にもくれ」と言ったら、それに対するドリス君の返しは「これは健常者用だ!障害者にはあげない!ウケた?冗談だよ!ほら!」てw
これ普通アウトでしょ。
でも全然アウトじゃないんだなあ。そこに差別意識が全然ないから。
タブーをタブーにしてないし、オブラートにすら包まない。
しかも、普通ならドン底なこの現状を笑いに変えてる!
あ~最高!
感動の涙なんていらない!笑っとけ笑っとけ!
うん。
『お涙頂戴』路線になってたらね、それはそれでとてもイイお話になってたと思うし、それはそれでアリでしょう。
ただ、セオリー通りにその路線行ってたら「あ~とてもイイおはなしだった〜」で終わってたと思うんですよ。
そうしない話の運び方が本当に素晴らしかった。
そしてね、これは人生讃歌じゃないです。
生きる素晴らしさを滔々と説くってんじゃくて。
んー何て言えばいいのかな。俺らはこうしてるだけ!こうして楽しんでるだけ!みたいな。
ふたりの讃歌っていうか。
分かりますかねw分からないですよねwwまいっかwww
いやいや、本当ねタイトル通りに、最強のふたりでした。
笑いだけで感動させる!
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