「もっともっと壁をぶち破れ」クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
もっともっと壁をぶち破れ
女性のエロをどこまで研ぎ澄ませて魅せる事が出来るのかを突き詰めるパリのキャバレーショーの舞台裏を追う作品です。演出家・衣装係・ダンサー皆がプロの高いプライドを持っていますが、遣ってる事はスッポンポン・ショーなのです。そのバランスの絶妙さが素敵で、ステージは無茶苦茶スケベなのにカッコいいのです。演出家の「エロスとは究極のほのめかし」の語りは至言。
「踊りよりまずボディラインを見る」のオーディション基準には才能だけでは越えられぬ残酷さがあります。また、男性から女性に性転換した人物もオーディションに来るという事にヨーロッパの先鋭さを感じます(結局、その人は落ちてしまうのですが)。但し、黒人・アジア人は劇場ダンサーに一人も見当たりませんでした。パリは、黒人歌手・ダンサーで1920年代の性的なシンボルであったジョセフィン・ベーカーが活躍した土地だったのに残念です。エロの世界だからこそ新たな伝統を作って欲しかったな。
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