「ここまでやるか」ロボット tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
ここまでやるか
最初は正直「インドのロボット映画?」と思っていたが、映画のレビューが概ね高評価なので観に行ったら、思いきりぶっとんでしまった。
とにかく主役(?)のロボット・チッティの暴れっぷりが物凄い。元々バシー博士が戦闘用に開発したため「アシモフの3原則」がインストールされていないという設定なので、人間を傷つけたり殺すことに全く躊躇がない。それが肉弾戦や銃撃戦、カーチェイスはおろか合体戦まで遺憾なく発揮されて、「ここまでやるか」と思いながらも、画面から目が離せない。ラストの合体戦は「こんなに人数いたか?」と思うほどの規模になっているが、その縦横無尽さが文句なく楽しい。
ただ闘いの合間にはサナと踊ったり、火災現場で人命を救助したり、難産の親子を助けたり、人間の友達になれる可能性を感じさせる場面もある。しかし火災現場での人命救助の際、人間の羞恥心に思いが至らず、入浴中の少女を裸のまま助け出したため、結果的に死なせることになってしまう。バシー博士は「人間と共存するには感情を持たなければならない」として、チッティに感情を与えるが、そのために今度はサナに対する横恋慕を抑えられず、恋敵として嫉妬を覚えてしまう。挙句の果てに生みの親のバシー博士に廃棄され(それもバラバラにされて)、ボラ博士に助けられたものの「レッドチップ」を埋め込まれ、人間の敵として覚醒してしまう。
ここからのチッティとバシー博士の闘いは攻守逆転の連続である。停電させて作動停止させようとすれば自動車のバッテリーから充電する。ワームソフトを入力すればすぐに無効化する。ロボットのもつ磁力に武器を奪われないように非磁性体で武器を作る。ロボットが磁力で合体すれば、その磁力を停止させるプログラムを送るなどなど。最終的には当然レッドチップを抜き取って博士が勝利するのだが、ラストで自らを解体するチッティに「人間のチップは外せない」の言葉が胸にしみる。
この作品は2時間20分の上映時間だが、オリジナル版は3時間ぐらいあるらしい。DVD発売時には全長版が出るだろうから、是非観てみたいものだ。