劇場公開日 2014年7月5日

  • 予告編を見る

「『眠れる森の美女』よりこちらの方がしっくりきた」マレフィセント 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『眠れる森の美女』よりこちらの方がしっくりきた

2014年7月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

楽しい

単純

幸せ

『アリス・イン・ワンダーランド』『スノーホワイト』など名作ファンタジー・アニメの新解釈実写化が流行りの昨今、今回の題材は『眠れる森の美女』。
しかし、これには驚いた!

ディズニー・アニメ版が好きな方は卒倒してしまうだろう。
新解釈どころか、何もかもひっくり返した元ネタ破壊レベル!

悪い魔女に呪いをかけられ、王子様のキスを待つオーロラ姫…ではなく、主役は呪いをかけた魔女マレフィセント!
ディズニー初の悪物語と思いきや、意外や意外の愛の物語。

元々、善良な妖精だったマレフィセント。何故彼女が悪い魔女になり、オーロラ姫に呪いをかけたのか。
あのディズニーアニメ版から、よくぞここまで大胆に物語を膨らませたもんだと感心さえした。

マレフィセントを変えたのは、人間の欲深さ。もっとよく言えば、恋した男の裏切り。
愛が憎しみへ。
その憎しみの心を再び変えたのが、純真さ。
見張っていたつもりが、いつしか見守るようになっていくマレフィセントには、母性愛を感じた。
それもこれも、実子や養子を含め大勢の子を持つアンジーだからより説得力がある。

アンジーがハマり過ぎ!
邪悪な魔女になった時など、アニメ版を凌駕するほどの貫禄とインパクト!
繊細な心の変化は、さすがオスカー女優ならでは!

アニメ版のオーロラ姫の美しさは特筆すべきだが、エル・ファニングのキュートさ、純真さもなかなか。マレフィセントも心変わりするわ、そりゃ!

アニメでもお馴染み、マレフィセントの手下のカラスくんも好サポート。

オーロラ姫の誕生を祝うパーティーの最中、マレフィセントが現れるアニメ版の冒頭も再現され、ファンならニンマリしてしまう。が、

それにしても、ディズニーも変わったものだ。
『アナと雪の女王』でも“真実の愛”は王子様のキスではなく、また本作も然り。
善者が悪者へ、悪者が善者へ。
本作にも一応王子様は登場するが、全くの役立たず。

『眠れる森の美女』と『マレフィセント』、個人的には『マレフィセント』の方がしっくりきた。
『眠れる森の美女』は名作だが、綺麗事理想事の夢は見ていてちょっとこっ恥ずかしい。
一捻り、いや、二捻りした夢と愛の物語。
誰もがマレフィセントに感情移入してしまうだろう。

近大