劇場公開日 2014年7月5日

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「「魔法にかけられて」「アナと雪の女王」に続くディズニーへのアンチテーゼ」マレフィセント よんしんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「魔法にかけられて」「アナと雪の女王」に続くディズニーへのアンチテーゼ

2014年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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「魔法にかけられて」「アナと雪の女王」と、「ひと目で恋に落ちる真実の愛」というディズニークラシックの純愛の世界へのアンチテーゼを描いてきたディズニー。
今回もやってくれました!

物語はマレフィセントの視点から描かれ、「眠れる森の美女」以前の、まだマレフィセントが少女だった頃からストーリーは始まります。

ひとつ心配だったのが、これを見てしまうと本家「眠れる森の美女」を観るときに穿った見方をしてしまうようになるのではないかということでしたが、その心配はいりませんでした。

物語の途中から「眠れる森の美女」とかぶり始めますが、
本家では、

①オーロラは生まれた時にすでにフィリップ王子と出会っている。
②二人は生まれた時から許嫁だった。
③マレフィセントの呪いの後に三人目の妖精が祝福を与える。
④マレフィセントがオーロラの居場所をつかむのは、16歳の誕生日の日に妖精たちがそれまで封印していた魔法を使ってしまったため。
⑤森でフィリップ王子に出会ったオーロラはフィリップから逃げようとする。
⑥眠りに落ちたオーロラ姫が眠りから覚めるまで、三人の妖精は城全体を眠らせる。
⑦城に向かう王子の行く手を阻むためマレフィセントが城をイバラで囲う。
⑧マレフィセントが龍に姿を変えフィリップの行く手を遮る。

等となっていますが、本作では細かいところがかなりの部分で変えられているので、本家「眠れる森の美女」をよく知る人でも別のストーリーとして楽しめます。

また、オーロラ役のエル・ファニングは少女的な可愛らしさ満点で、本家の面長の美女のオーロラとはイメージが全く異なります。

本家は元々の眠れる美女のストーリーにさらに納得いく合理性を与えてアニメーション化したということですが、本作ではマレフィセントがなぜオーロラに呪いをかけたか等、本家でも理不尽だった部分にうまく説明づけがされています。

ただ、最後の決着のつけ方だけは従来のディズニープリンセスもののヴィランズと同じ扱いだったのが残念でした・・・。

「魔法にかけられて」「アナと雪の女王」「マレフィセント」とディズニー映画のお約束を破ってきたディズニーが次にすべきなのは劇中のヴィランズの扱いなのではと思います。

とにかく、マレフィセントを少女時代から描くことによって観る者達をマレフィセントに感情移入させ、また、マレフィセントの心の変化をアンジェリーナ・ジョリーが絶妙な演技で表現しているため、こちらの心をじくじくさせます。
アンジー、すごいです・・・。

私の隣に座っていたおばさま三人衆も終始感嘆の声をあげてらっしゃいました。

と、特に期待はしていませんでしたがこれがなかなかの良作であり、ディズニーが新しいディズニーへと生まれ変わった意欲作であることを実感させられる作品でした。

よんしん